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2019年5月17日金曜日

五月雨や『アキラ』は遠くなりにけり


    今年、二〇一九年は『アキラ AKIRA』の年でもある。

2019年2月18日月曜日

子供たちを殺すものは誰か

   ついこの間まで世間は、父親が幼い娘を虐めぬいた末に殺した事件について語ることで、腹をつぶされた蛇のようにのたうっていた。
 やや過剰とも思える報道に触れて、思い出したのはドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』である。その中の有名な「大審問官」の部分で、イワンがとある事件について語っている。

2018年6月16日土曜日

「読書」が人を殺すことはあるか

    幼い頃、新幹線が大好きだった。そのスタイリッシュなデザイン、当時「世界一」とされたスピードを、子どもながら誇らしく感じていた。それは、日本の将来を、「豊かさ」を約束しているようでもあった。
 その新幹線で、無差別殺人事件が起きた。
 犯人は無職ではあるが、「読書家」であったという。

2018年6月1日金曜日

誰がなんと言おうと『菊と刀』は超絶的な名著であるということの続き

The Chrysanthemum and the Sword: Patterns of Japanese Culture
 前回からの続き

 当時はネット環境なんかなかったので、タウンページで件の公的機関の住所と電話番号を調べた。
 出かける前に、念のために確認した。
「とにかく先方に謝るってことでいいんですね?」
 おじいさんは顔を真っ赤にして怒鳴った。
「うるさい!!生意気なことをぬかすな!!!」

誰がなんと言おうと『菊と刀』は超絶的な名著であるということ

菊と刀―日本文化の型 (現代教養文庫 A 501)


 そのうち書こう、と思って書かないままになっている話がある。
 あまり心地の良い話ではない。
 おまけに、どう書いたらうまく人に伝えられるのかよくわからないし、実は今もわからないままだ。

2018年5月25日金曜日

セクハラという悪夢を封印する「システム」としての「恋愛」と「結婚」

 なんか知らんアメフトの人気が出ているような昨今ではあるが(白々しいなあ)、アメフトといえば数年前に話題になったこんな動画が思い出される。

2016年6月25日土曜日

英国病2.0?

欧州連合
―統治の論理とゆくえ (岩波新書)
    イギリスが国民投票でEU離脱を選択した。
 おーまいごおー!!と叫ぶ前に、ふと思い出したのはロンドンの暴動のことだ。

2016年5月4日水曜日

果たしてゴルゴ13の最終回はどんな内容か?

ゴルゴ13で楽しむ リアル世界裏紀行:
 観光ガイドブックには掲載されない、
世界各地の真実を紹介! 
(C&L MOOK My First Knowledge)
    つとに知られた話だが、ゴルゴ13の最終回はすでに描いてあって、さいとう・たかをプロの金庫にしまわれているそうな。
 それがどんな設定なのか、ゴルゴ最後のスナイプの標的は誰なのか、というのは別に知ったこっちゃないが、自分個人の考えとしては、多分ゴルゴが今まで溜め込んだ国家予算並みのお宝が、どのような目的に使われるかという話になるんじゃないかと思う。
 ほとんど読んでないけど、そういう話ってこれまでなかったでしょ?あったんならスンマセン。でもその話が銃器や逃走経路の確保に金を使ってました、という程度だったらギャラの全額には届かないと思うけど。

2016年3月18日金曜日

デトロイトがゴーストタウンになりつつあるということを聞いてビンセント・チンのことを思い出した

 デトロイトは今も自動車の街であり、今年だってちゃんとモーターショーが開かれている。
2016 デトロイト・モーターショー
 しかし、その陰で産業の凋落による廃墟化が進んでいる、ということも言われている。
Albert Kahn and the Decline of Detroit
 このような状況は、一体何によってもたらされたのか。


 デトロイトと聞いて、音楽について思い出す人と自動車産業について思い出す人と、二通りあると思う。
 デトロイト・サウンド(モータウンだっけ)はあまり聞かないから話せることはないけど、自動車産業については一つイヤな話がある。
 1982年、デトロイトの路上で一人の中国系青年が殺された。
 金属バットで頭蓋を割られていたという。
 目撃者もあり、犯人はすぐに捕まった。地元の工場で働いていた元自動車工の親子だった。親子は工場をレイオフされたばかりだった。

2016年3月17日木曜日

小沢昭一が亡くなってまたひとつ昭和が遠くなったけど「それでいいんだよ」と小沢昭一的こころで言いそうに思う

ドキュメント 綾さん
―小沢昭一が敬愛する
接客のプロ 
(新潮文庫)
    昔々その昔、ソープランドはトルコ風呂と呼ばれていた。トルコ政府から文句が来て改名することになったわけだが、「ソープランド」と名付けた人は大したいもんだ。トルコ風呂よりしっくりくるネーミングだったので、たちまちのうちに定着した。今じゃ「トルコ風呂」なんて、解説付きじゃないとわかんないくらいになっている。

2016年3月13日日曜日

『秋刀魚の味』と少子化

秋刀魚の味
 ニューデジタルリマスター版
    小津安二郎の遺作『秋刀魚の味』を観た。以前観た時は大学生だったから、実に三十年ぶりである。デジタルリマスターで画面と音がすっきりして、まるで別の映画のようだった。映画が創られたのは私が生まれた年だが、当時すでにとんかつ屋に店員を呼び出すボタンがあることに改めて気づいたりした。(以下ネタバレがあります)

2016年3月5日土曜日

選挙とエコロジーと経済学

 こうみえても投票には毎度毎度行っている。

「劣悪な政治家は、投票しない善良な市民によって支持されている」

…なんてフランクリンさんが脅かすもんで。やーねー。
 しかし一方で、選挙なんてもんにはまーったくぜーんぜんさーっぱり関わろうとしない人もいる。じゃあ、そういう人が社会的によろしくない人かというと、そうでもなかったりする。

 ある日アメリカのとある町の投票所で、二人の経済学者がばったりでくわした。
「よ、よう……」
「お、おう、お前何しにきたの?」
「何って、……いや、なんか、かみさんに無理矢理連れてこられちゃってさあ」
「ああ、そう、そうね。俺も俺も」
「うんやっぱそうだよな」
「そうそう」
「ま、このことはお互いに……」
「そうだね、ないしょってことで……」
「じゃ、そういうことで」
「そういうことで」
 とまあ、こんな具合にぎこちなく別れた。

 なぜ二人はこんなにぎくしゃくしていたのだろううか?

2016年2月17日水曜日

社会が進歩するとかしないとか認識できる機会は書物の中に多く含まれている

…………
…………結婚して独立するのは、経済的かつ精神的な成熟を獲得してからにしろというのは、社会の正当な要求です。しかし、生き残り競争が激化したために、男の経済的な自立がだんだんと難しくなってきています。職場や生活技術の複雑な要求は、精神的自立をますます遅らせます。他の人の生活の責任を負い、子供をちゃんと養育するには、しっかりした性格が必要ですが、そうした性格は、さまざまな困難な状況や、迷いや、経験などを経て形成されてくるものです。したがって、男がきちんとした形で妻をもてるようになる時期は、ますます遅くなります。それに対して、身体の造りはこれにならうことはしません。性衝動は、昔同様に、かなり早い時期に目覚めます。文化が高度になればなるほど…………
…………

2016年2月4日木曜日

労働はいつ人を「ブス」にするのか?もしくは望月ミネタロウ『ちいさこべえ』について

ちいさこべえ
 『ちいさこべえ』という興味深いマンガがある。山本周五郎の『ちいさこべ』を元に、時代を現代に移したものだ。描いたのは異能の漫画家、望月ミネタロウである。
 大火事で両親を失った大工の若棟梁の元へ、焼けだされた若い女と孤児数人が転がり込む。可愛げのないクソガキどもの面倒を見つつ、若棟梁は「一人前」になってゆく、という物語である。
 ここにあるのは、「美しい世襲」という一つの「神話」である。実際、「ちいさこべ」とは日本書紀の神話から題材をえている。

2016年1月25日月曜日

ただそれを「野蛮」であるということにしてしまう視線について

…………
 現今、天下の男色を談ずるものは、ややもすれば、閩(びん、福建省の町)と広(広東・広西)の地方とを語り草にする。しかし、呉・越から燕・雲に至るまで、この好みを知らないものはないのである。陶穀の『清異録』には、「京師(みやこ)の男子は、自分の体を自ら売りに出し、送り迎えして恬然としている」とのべている。とすれば、この風習が唐宋のころから、すでにあったことが知られよう。いま帝都には小唱があって、もっぱら士大夫の酒席の御用を勤めているが、おそらく官妓が禁じられたので、これを用いざるを得なかったのである。その初めはみな浙江の寧波・紹興の人であったが、近頃では半ばは臨清(山東省)のものである。だから南と北の小唱に分かれているが、群に随い隊を逐うという状態で、佳いものは少ないのである。たまに一人でもいると、風流な士大夫たちなら、力を尽くして招き寄せようとしないものはなく、国じゅうが狂ったようになるのである。……
…………

2016年1月23日土曜日

「ティダック・アダ、アルティニャ(意味はない)」とベネディクト・アンダーソンが言ったわけではないが

 その言語の特徴として、
「いくつかの言語が混ざりあって作られている」
「現代世界の技術用語や思想的抽象概念から、おびただしい数の、そしてほとんどあらゆる分野からの借用からなっている」
「公的な場での演説を全くわからないまま、多少とも感動的に聴いてしまう平均的な国民にとって、その輸入の語彙の部分はほとんど理解しがたいものである」
言葉と権力―
インドネシアの政治文化探求
「もったいまわった言い回しのごった煮であり、諸言語の魔法のような混融状態である」
 ベネディクト・アンダーソン『言葉と権力』にある、インドネシア語についての記述である。
 やや書き換えて冒頭に並べたのは、こうしていきなり突きつけられると、まるで日本語のことを言っているように感じられるからだ。
 そしてこれらは、普段日本人が目を背け、忘れようとしている、鏡の中の映し姿でもある。

2015年11月12日木曜日

「みんなビンボが悪いんや」という身近かすぎてわからない身近かな真理についてわからせるにはどうすればいいかということ



「貧乏」というものがよくわからなくなって久しい。
 いや、私自身は身に沁みているのだが、社会全体によく通じないように思える。そして、どのようにすれば多くの人々に理解されるのか、というのはより一層わからない。と、このように書いても「俺はわかってる!」と言いつつわかってない人は多いわけで、「わかってる」人にさらにわからせるのはどうすればいいのかもわからない。

「貧乏」というものは、未来が剥奪されることによって起こる。
 自分の未来が描けないので、目の前のことしか考えられなくなる。
 だから、「貧乏が嫌だったら、死に物狂いでがんばればいいだろ」というのは、わかってない人の言い草である。「がんばる」というのがどういうことなのか、わからなくなるのが「貧乏」というものだからだ。

2015年1月31日土曜日

【経済の問題がどのくらい重要かというと経済学者に任せておけないくらい重要なので続き編】もしも西荻窪の古本屋がピケティの『21世紀の資本』(PIKETTY,T.-Capital in the Twenty-First Century)を読んだら

Le capital au XXIème siècle

   前回の続き。
「お金持ちが納得して、たくさん税金を払ってくれる」という、KENJIの身代わりにアンパンマンがISISの人質になって「新しい顔があるからへーきだよ」と言ってる、なんてのと同じくらい幼稚でファンタスティックで場の空気を読まない質問には、一体何が含まれているのか?
 だいたい、税金なんて、喜んで払ってるのは皇室くらいじゃないかと思うんだが、なんで税金を払いたくないかというと、まず「せっかく稼いだ金がもったいない」それから「国が何に使っているのか信用できない」からだ、とみなさんのたまうだろう。
 それは金持ちに限らず、サラリーマンだってパートのおばちゃんだって街場の古本屋だって大臣だって経済学者だって同じことだ。そういや、元大臣で経済学者で企業重役の人が、住民税を逃れるために一年の半分は住所を海外に移してた、なんてな話もあったっけ。

2015年1月25日日曜日

死刑と自己責任そして安楽死さらにはカント

 その国を「他者」と呼ぶならば、レヴィナスが怒るだろうか?
 北朝鮮ですら有している「同時代性」というもの、それすらも共有しない国家において、二人の日本人が「処刑」されようとしている。一人はすでに処刑されたとの報道があったが、まだ確定的ではない。北朝鮮の拉致被害者の死については疑う日本政府が、この国についてどのような態度をもって接すべきなのか、まごついてばかりいるように見える。
 さて、今「処刑」と書いた。マスコミもそのような表現で報道している。
 しかし、これは、はっきりとした「死刑」である。
 彼らは「スパイ」として疑われており、日本にだってそういう「スパイ」を極刑にする法律が存在するのだ。

2015年1月12日月曜日

おとなになるってどんなこと?

 言葉が暴力になるのなら、それに暴力でお返しして何が悪いだろう?
 と考える人たちは意外と沢山いて、だいたいの場合口下手だ。そして、真面目で、正直であったりもする。そうした人たちは、言葉の代わりに暴力を使う。それを押しとどめられるのは、神様だけだ。神様はおっしゃる「復讐するは我にあり」(ロマ書 )と。俺がやるからお前はするな。仕返しなんぞ、不信心もののすることだ。
 どうやら神様というものは、信じれば信じるほど、その教えに背きたくなるらしい。ムハンマドだって多神教徒たちへの復讐をさせなかったんだけどね。