2016 デトロイト・モーターショー
しかし、その陰で産業の凋落による廃墟化が進んでいる、ということも言われている。
Albert Kahn and the Decline of Detroit
このような状況は、一体何によってもたらされたのか。
デトロイトと聞いて、音楽について思い出す人と自動車産業について思い出す人と、二通りあると思う。
デトロイト・サウンド(モータウンだっけ)はあまり聞かないから話せることはないけど、自動車産業については一つイヤな話がある。
1982年、デトロイトの路上で一人の中国系青年が殺された。
金属バットで頭蓋を割られていたという。
目撃者もあり、犯人はすぐに捕まった。地元の工場で働いていた元自動車工の親子だった。親子は工場をレイオフされたばかりだった。
解雇の原因は、日本の自動車輸出攻勢で、会社の業績が急激に悪化したからだ。
親子は酒場で中国系の青年(ビンセント・チン)を見かけると、「日本人め」と因縁をつけた。まあ、その時確実に差別的な単語が使用されたことだろう。元々関わりのない中国系がそれに反発するわけもなく、ビンセント・チン青年はその場を上手くあしらった。
が、頭に血が昇った親子は家から凶器をもってくると、夜の路上で青年を待ち伏せた。
親子は闇討ちで青年を散々に殴った。金属バットで「ホームランをかっ飛ばすように」(目撃者談)頭蓋を叩き割ったという。
しかし、この殺人事件について、親子に下された判決は執行猶予と少々の罰金だけだった。
当時、この親子が白人であり、裁判の陪審員が全員白人だったことが取りざたされた。
この事件は一編のドキュメンタリー映画にまとめられている。
しかし、この殺人事件について、親子に下された判決は執行猶予と少々の罰金だけだった。
当時、この親子が白人であり、裁判の陪審員が全員白人だったことが取りざたされた。
この事件は一編のドキュメンタリー映画にまとめられている。
映画の中には、犯人の親子に取材しようとするニュース・ステーションの映像もちらっと出てきたりする。
アカデミー賞を長編ドキュメンタリー部門で受賞。
この映画からは、「誰が悪いのか」がはっきりとはわからない。
犯人の白人親子ですら、別な意味での被害者のようにも見えてくる。
今、日本の自動車産業にかつての勢いはなく、それでもアメリカのビッグ3はつぶれかかり、デトロイトの自動車工場は上掲の記事のごとくゴーストタウンとなりつつある。
真犯人は、そこにいるように思えるのに、それを語る言葉が見つからない。名付けようにもどう呼べばいいかわからない。
ビンセント・チンが誰に殺されたのか。
三十年間わからないままで、わからないがゆえにデトロイトは滅びつつある。
そんな気がする。
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