2014年9月28日日曜日

誕生日だからどうしたというわけでもないけれどいくつかの話

十代目金原亭馬生 噺と酒と江戸の粋
今日は自分の誕生日なのだが、実はこの誕生日について違和感がある。ほんのちょっぴりではあるけれど。
 幼い頃、私は自分の誕生日を二七日だと思っていた。たぶん、誰かにそう教えられたのだろう。二八日だと記憶を訂正されたのは、小学校に上がる頃だった。この偽の記憶については、親父が主犯であろうとにらんでいる。親父は私が大学を卒業するときも、何かの書類に「二七日」と書いていたので、私が訂正した憶えがある。
 別に深夜に産まれたわけでもないのだが、ちょっと居心地の悪い話だ。

 とはいえ、落語家の十代目金原亭馬生に比べれば対したことはない。彼の父親は今や伝説と化した古今亭志ん生なのだが、長男が産まれても志ん生はなかなか届けを出さなかったらしく、誕生日どころか「昭和か大正かすらもあやふや」だったという。ちらっとした思い出話では、「うだるような暑い日だった」というのだが、届けられた誕生日は一月五日である。
 長じて馬生は志ん生に質してみた。
「おとっつぁん、ほんとのとこ、おいらはいつの生まれなんだい?」
 志ん生応えて曰く。
「ばかやろう、生まれたんだからそれでいいじゃねえか」

2014年9月24日水曜日

女子力への意志!ででででででででででん!(効果音)

ニーチェ、芸術としての力への意志 (ハイデッガー全集)
「女子力」という言葉がある。そのうち死語になるかと思ったら、みのもんたのように意外としぶとい。大学まで使ってるし
 どういう意味なのかと疑問に感じて検索しても、大して要領を得ない。こういうよくわかんないとこが、廃れない秘密なのだろう。てか、なんで「力」なんだ。発電でもするのか。

 そういえば、似たようなのに「ぶりっこ」てのもあったな。こっちは嫌悪の対象みたいだったけど、意外と息が長いところが共通している。小林信彦の『現代“死語”ノート〈2〉』にも載ってるってのに。
女子力というのはよくわからんけれど、この言葉を聞いて思い出すのはゲーテの妻クリスティアーネである。

2014年9月22日月曜日

くまさんがついてくる♪








クマ大量出没中 ある日、人里で出合ったときの心得
http://www.asahi.com/articles/ASG9M5677G9MUTIL035.html

 今年は山の実りが少なく、クマと出会うことが多くなるだろうとのこと。もし出会ったなら、極真空手の達人でもない限り、すたこら逃げるにしくはない。
 しかし、ただまっすぐ走ればすぐに追いつかれる。やつらは図体がでかい割に足が速い。ドーピングしたベン・ジョンソンでもちょっと逃げ切れないくらいだ。
 上掲記事にはないが、クマから逃げるときには、ひとつのコツがあるそうな。
 とにかく走りながら物を投げる。出来るだけキラキラ光るものや、かわいい音がするものがいい。投げるのはクマに向かってではなく、斜め後の道からそれた所に投げてやる。するとクマはその投げられたものが何なのか、かならず確かめにいく。なんで確かめにいくかというと、それこそがクマの性、野生の本能、好奇心はクマをもそらす、というか、動物ってなんか落ちてくるととりあえずにおいを嗅がずにいられないでしょ、あの性質を利用するのだ。
 出来るだけジグザグに走りながら物を投げ、うまいこと人里に出られればセーフ、てわけ。
 ただし、ほんとに効果があるのかどうかはわからない。まあ、上手くいかなかったらその人はクマのディナーになってるから、こっちに文句を言ってくることもないだろうけど。

2014年9月20日土曜日

佐渡が独立するとかいう話にまつわるちょっとアレな話

 独立と言えば、ちょっと昔に「佐渡島独立運動」てのがあった。
 中心になってたのが永六輔。他に小沢昭一柳家小三治なんかも加わって、ちょいと粋な大人の遊びって感じでわいわいやっていた。
 なんで佐渡かっていうと、海に囲まれているてのと、食料自給率が百%を超えている(当時)てのがその理由だ、とのことだった。
 細々したことは『佐渡新発見 (三一新書)』て本で触れられている。また、ネットでも「佐渡独立論」と離島新興法なんてのがアップされていて、当時シャレはシャレなりにけっこうな盛り上がりを見せていたことがわかる。
 で、この運動、盛り上がった所でたちまちしぼんでしまい、まあ普通に「飽きられた」んだろうな、と思っていたのだが……

2014年9月19日金曜日

ネッシーはいないからこそ

 スコットランドの独立はならなかった。
 まあ、以前にカナダのケベック州の件もあったし、独立とはちょっとニュアンス違うけど、オーストラリアがイギリス女王を君主とするのをやめるかどうか、てのもあったし、先進国と呼ばれる国に変化を求めるのはけっこう難しい、ということなのだろう。そういえばカナダもオーストラリアも、所謂「コモンウェルス」に入っているな。この大英帝国の「骸」のようなものから抜け出すのさえ、なかなかに難儀なことであるようだ。

Nessie Ladle ネッシーレードル (ブルー)
 さて、スコットランドといえば何を思い出すかというと、私の場合はネッシーだ。
 ガキの頃「ほんとうにあるせかいのふしぎ」系の話にはずいぶんと興奮したからね。
 興奮したのはちびっ子たちばかりじゃない。いい大人もロマンとやらを求めてネッシー探索の旅に出たりしてた。

2014年9月18日木曜日

なんかもう発禁とにかく発禁気に食わんから発禁

 前回、出版物の内容が昭和七、八年くらいからおかしくなってくると書いたけど、二・二六事件で戒厳令を敷いた後、政府はとにかく統制することを楽しむかのようになる。八つ当たりを覚えた幼児のように、ちょっと癇に障るとなんでもかんでもなぎ倒す。
 昭和十二年には、内務省が講談社や中公や文春の社長を呼びつけて、「国民精神総動員」への協力を要望、てか「やれよ、おまえら」と強制する。
 まあ猥本やら思想関係が統制されてるうちはまだ良かったんだが(良かないけどね)、そのうち禁止するものがなくなってくると、文学作品を禁ずるようになる。エロい描写があるとかグロい表現があるとかに始まって、ほとんどいちゃもんとしか思えない理由で、内容が大幅に削除されるようになった。
 以下、今では普通に手に入るものを何冊か並べてみる。

2014年9月17日水曜日

昔の本を読んでてなんとなくわかること

…………
……シオン議定書というものがあったとしても、その内容がそれほど悪徳の議定書であるということが、すでに常識から観て怪しいのである。
…………
……こうして考えてくると、ユダヤ人の陰謀は、ありもしないことを捏造した一編の怪奇物語、あるいは探偵小説でしかあり得ないということが判るし、万一それが真実であったにしてもさらに驚くほどのことではないということが判るだろう。総てこれらはユダヤ人嫌いのキリスト教狂信者が作り上げた誣言であり、虚妄の物語である。
…………

2014年9月14日日曜日

なんでそんなにユダヤが好きなんだ

ユダヤの商法―世界経済を動かす
 (1972年) (ベストセラーシリーズ)
 なんか変な話だけど、ナチスが好きな人ってユダヤも好きだったりするんだよね。いや実際、古本屋やってると、そういう人にちょくちょく出くわすし。
 しかしまあ、なんとなくだけどわからなくはない。ユダヤ人の陰謀!ユダヤがアメリカを動かしている!とかなんとか、そういう派手な話に出くわすと、劇画の世界が現実につながってきたみたいなわくわく感が共通するんだろう。

2014年9月13日土曜日

なんでそんなにナチスが好きなんだ

 子供の頃、ヒトラーというのは架空の人物だと思っていた。先にパロディから目に入ってきたからね。まあ実際、いい年こいた大人が、鼻の下に味付け海苔くっつけてるおっさんに「はいる!はいる!」と熱狂するとか、お子様から見たらギャグとしか思えないもんだ。
 ナチス関連の書籍は、今も年に何冊かは出版されていて、ナチスってだけでそれなりに売れるようだ。コンビニに並んでたりもするしね。

2014年9月10日水曜日

ネズミだって生き物さネコだって生き物さ♪スコットランドは独立さ

  左の画像はデビューしたてのサイモン&ガーファンクルだ。彼らが最初「トム&ジェリー」と名乗っていたのは、ファンなら常識だろう。
「トムとジェリー」は元々二本立て映画の合間、フィルムをかけかえる時間の場繫ぎとして作られたものだ。日本でテレビ番組向けに再編され、例の主題歌もつけられた。
Life in London

 そして、昭和四十年代を生きる幼い子供たちに、チーズに必ず穴があるとか、スパゲティは全部一本でつながってるとか、一見深刻に見える状況もスラップスティックにしてしまえるとか、そういうことを教え込んでくれたわけだ。

2014年9月7日日曜日

なぜ占いは心地よいのか

【性格診断】あなたはどの眼に惹かれますか?
「わー、これすごい!当たってる当たってる!」
 と今朝方娘がパソコンの前で騒いでいた。
「ねえねえ、パパもやってみて!」
 どらどら、とのぞくと、”【性格診断】あなたはどの眼に惹かれますか?”というネットの記事だった。
 ああ、よくあるやつだなと頭をかきながら、「じゃあ三番」とぱっと見で選んだ。そしたら、占いの解説文を読む娘の顔が、みるみるうちにこわばってきた。なんじゃい、と改めて画面を見ると、私についての診断は以下のようなものだった。

2014年9月4日木曜日

おとこのこのいない世界


    八月に『思い出のマーニー 』を見たが、今まで感想を書けずにいた。書かなかったわけではなく、書けなかったのだ。
 またぞろ娘と観に行ったのだが、娘は大いに感情移入して涙ぐんでいた。

私はと言えば、ジブリのアニメは細部がきちんと書き込まれているから、見てて気持ちがいいなあ、くらいにしか思っていなかった。
 この断絶は一体なんなのだろう。(以下ちょっぴりネタバレ)

2014年9月3日水曜日

観光客としてあまり優秀とはいえない人間の観光旅行

 観光が苦手だ。名所も名物も興味がない。行った先であまり大々的に移動したくない。名産品より地元の喫茶店でコーヒーを飲みたい。お土産屋より地元スーパーをのぞきたい。そんな観光客は、あまり歓迎されないように思うが、それはそれでしかたない。
調布飛行場のセスナ
昨日、伊豆大島へ行った。
 調布の飛行場から、文字通りひとっ飛びである。三十分とかからなかった。吉祥寺へバスで行くよりも早く着いた。
 


 今回の旅行の目標は三つ。
・セスナに乗ること
・海に足を浸すこと
・たいくつすること