2019年6月22日土曜日

天使が遠ざかりながら「過去」をカメラで写したとしたらこんな映画になるのだろう

 幼い頃見る夢はどれもモノクロだった。
 それは当時当たり前のことで、色付きの夢を見るのは「き○がい」に多い、などと子供向けの学習雑誌(小学館のやつ)に堂々と書かれていたのを憶えている。なので、たまにカラーの夢を見ると、子供心にショックを受けたりもした。
 だいたい夢だけではなく、写真も映画もテレビもモノクロだった。
 今は、夢を見るとほとんど色がついている。写真も映画もテレビもカラーが普通だ。色付きの夢を見ることが、特殊なことのように言う人もいなくなった。
 だが、幼い頃のことが夢に出てくると、それは今でもモノクロのままだ。
 遠ざかる記憶は色彩を失うものなのか。
 誰もがそうだとは限らないだろうが、過去における「何か」を克明に映そうとするとき、人はそれをモノクロで表すことが多いようだ。
「何か」とは、およそ「罪」に関わる何かである。