2016年2月17日水曜日

社会が進歩するとかしないとか認識できる機会は書物の中に多く含まれている

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…………結婚して独立するのは、経済的かつ精神的な成熟を獲得してからにしろというのは、社会の正当な要求です。しかし、生き残り競争が激化したために、男の経済的な自立がだんだんと難しくなってきています。職場や生活技術の複雑な要求は、精神的自立をますます遅らせます。他の人の生活の責任を負い、子供をちゃんと養育するには、しっかりした性格が必要ですが、そうした性格は、さまざまな困難な状況や、迷いや、経験などを経て形成されてくるものです。したがって、男がきちんとした形で妻をもてるようになる時期は、ますます遅くなります。それに対して、身体の造りはこれにならうことはしません。性衝動は、昔同様に、かなり早い時期に目覚めます。文化が高度になればなるほど…………
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真理のごとく振舞う言葉がやがてジョークになるということ

 ジョン・ロックは『市民政府二論(統治二論)』第一書、第一章の冒頭にこう記している。
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奴隷制が恥ずべき悲惨な人間の状態であり……弁護すべきものだとよもや思われぬほどである……
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 が、しかし、この「全人類の鎖」に対するロックの憤激は、新世界と呼ばれた土地、少なくともイギリス植民地のプランテーションにおいて、黒人が奴隷にされていることを対象としたものではなかった。

2016年2月15日月曜日

とりあえず芝居じみた話ってのは疑った方がいいのかもしれない

千本釈迦堂 大報恩寺の美術と歴史
    中学のときの修学旅行は、おさだまりの奈良京都だった。辛気くさい寺社仏閣を生意気盛りの中学生が練り歩くのだから退屈しないわけがないのだが、そこは観光で百年食ってる土地だけあってぬかりなく、ガキはガキで充分に楽しめるネタがあれやこれやと用意されていた。
 ベテランのバスガイドさんの話はなかなかに面白く、その中で印象に残っているのに次のようなものがあった。

ある大工がお寺を建てるとき、うっかり柱を一本短く切ってしまった。さてどうしたものかと頭を抱えていると、女房が「他の柱も全部短くすれば良い」とアドバイス。なるほど、とその通りにしてみると、今までのものよりずっと姿良くできた。この怪我の功名で、大工の名は一層上がったのだった。ちゃんちゃん。みなさん、発想の転換って大事ですね……

2016年2月14日日曜日

藤本義一が亡くなった時に書いた川島雄三についてのもろもろ

生きいそぎの記 (1974年)

 藤本義一の著作はほとんど読んだことがない。なんとなく、読まなくても「よく知ってる」ような気がしたからだ。有名人というのはそうしたものだ。彼はガキどものあこがれ11PMの司会を、最初から最後まで25年つとめた。私くらいの年代の男どもにとって、「大人」というのは11PMにでてくるような大人であり、大橋巨泉や藤本義一がモデルになっていたと思う。無意識のうちに。
 残念ながら、私は巷間名高い11PMというものは一度しか見たことがない。見たのは修学旅行先のホテルのテレビでだった。同室の三人はすでに何度も見ているようで、あーだこーだうるさかった。しかしその日は男子高校生が鼻の穴をふくらますような展開はなく、そのあと夜通し昔の思い出やテレビや小説や映画のことを明け方まで語り合ったことの方が印象に残っている。
 ヘンな憶測だが、「肉食系」というのは、11PMをしっかり見ていた男の子がなるものではないだろうか。1990に番組が終了し、11PMに触れることなく育った男の子はどんどん「草食系」になった。かくいう私がそうだし。妻に言わせると、私は草食系の走りらしい。まあそんなわけで、少子化を憂える方々は、11PMを復活させるのも一つの手段かも知れない。もちろん冗談なので、真に受けないように。

2016年2月13日土曜日

応仁元年九月十八日桃華坊文庫焼亡ス

応仁の乱 (岩波新書 青版 873)



 応仁元年九月十八日(1467年10月25日)、一条兼良邸が赤松勢等の襲撃を受け全焼。和漢数多の書を蔵した桃華坊文庫焼亡す。質・量ともに金沢文庫に数倍すると言われた書籍群、そのほとんどが喪われた。
 とはいえ、ごくごく一部ではあるが、枢要なものは光明峯寺に疎開させてあった。

2016年2月12日金曜日

AIに愛はなくとも

大友克洋、武器よさらば
    大友克洋という元漫画家(元ってつけたくなるよねえ)の短編に、『武器よさらば』という印象的な作品がある。
 未来のとある戦場での、「ゴンク」というロボット兵器、というか今ならドローン兵器とでも形容した方がいいのか、そういう自動兵器との格闘を描いたものだ。(スターウォーズのとは関係ない。たぶん)
 このゴンクは、旧式洗濯機に手足がついたようなデザインながら、大出力の粒子ビームをばんばん放つ凶悪なシロモノだ。
 高度に機械化された一個小隊をたった一台で壊滅させるこの兵器には、確実に高度のAI(人工知能)が搭載されていることだろう。

2016年2月11日木曜日

AIに愛はあるか?

ホーキング、未来を語る (SB文庫)
 ちょっと前のことだが、有名な物理学者のホーキング氏が、「AI(人工知能)をほっといたら、いつか人類を滅ぼしちゃうよ」という、ターミネーターに出てくる未来世界みたいなことを言い出して物議をかもしたことがある。


人工知能で人類は滅亡する? ホーキング博士の警告で議論再燃

2016年2月8日月曜日

古典とは誰もが読まねばと思いつつ読みたがらないものだ(マーク・トウェイン)

 全然本なんか読まない、という人でも実は本を読んでいる。読んでいないのに、その本から影響を受けている。え、なにそれキモい、放射能みたい、とか言われそうだが、それが本の中の本である「古典」と呼ばれるものなのだ。

2016年2月4日木曜日

労働はいつ人を「ブス」にするのか?もしくは望月ミネタロウ『ちいさこべえ』について

ちいさこべえ
 『ちいさこべえ』という興味深いマンガがある。山本周五郎の『ちいさこべ』を元に、時代を現代に移したものだ。描いたのは異能の漫画家、望月ミネタロウである。
 大火事で両親を失った大工の若棟梁の元へ、焼けだされた若い女と孤児数人が転がり込む。可愛げのないクソガキどもの面倒を見つつ、若棟梁は「一人前」になってゆく、という物語である。
 ここにあるのは、「美しい世襲」という一つの「神話」である。実際、「ちいさこべ」とは日本書紀の神話から題材をえている。

2016年2月3日水曜日

「父親」はいつ「ブス」になるのか?

    ちょっと前、娘に「昔の少女マンガってどんなだったの?」ときかれたことがある。その問いに対して「すごいハンサムで頭も良くてスポーツ万能で、日本の学生なのに長髪で金髪で大金持ちの御曹司の男の子が、ドジでバカでこれといったとりえがなんにもない女の子に『そのままの君が好きだよ』とキスしてハッピーエンド、てな感じかな」と答えた。
 それに対して、娘はたった一言感想を口にした。
「それって……クヒオ大佐?」

2016年2月1日月曜日

宝塚を見なくともわかる宝塚が魅力的なワケ

 ネットで出回っているリストで、「ブスの25箇条 宝塚歌劇団 伝説の教え」というのがある。
 内容は以下のようなものである。