「あなたのベッドにいるその女は何?」
「なんでもないよ。君が疑うような事は何もしてないよ」
「だからどういう女なのか答えて」
「持病の発作が起こったんだよ。だからお医者さんに介抱してもらってるんだ」
「はあ?要するに浮気でしょ」
「いや、浮気だなんてとんでもない」
「あたしと別れたいのね」
「まさか。別れるなんてまったく考えてないよ」
「その女があなたと同じベッドにいること自体耐えられないんだけど」
「いや、君ならわかってくれると思ったんだ」
「はああ?何をどうわかれっていうの??!」
「ほら、僕が病弱だってことは前々からはなしてたじゃないか。だからこういうことも起こりうるんだよ」
「何勝手なこと言ってくれちゃってんの?」
「いやだから、君には話したじゃないか」
「もうおしまいね、私たち」
「ちょちょ、ちょっと待って。もう少し話し合おうよ」
「話し合う以前にその女をどうにかして」
「だから君が疑うようなことはいっさいしてないよ」
「いいから、とにかくその女をどうにかして」
「だから君が疑うようなことはいっさいしてないよ」
「じゃあ、もう離婚したいのね」
「僕は離婚なんかしないよ」
「まさか、浮気しても許せって言いたいの?」
「まったくの誤解だよ。そんなことは言わないよ」
「浮気は男の甲斐性とか、そう考えてるんじゃないの?」
「全然そんなことはないよ。これまで以上に、僕は君ひとすじさ」
「そんなこといって、今度は外でやらかすんじゃないの?」
「僕が君を守ること以外に何をするって言うんだい?」
「だから、そんな口約束をどうやったら信じられるってのよ」
「僕の愛を信じて」
「信じたりしたらまた別の女に手を出すんでしょ」
「僕の愛を信じて」
「あんたの愛なんか信じられない。愛がなければ一緒に暮らせない」
「僕の愛を信じて」
「信じてってねえ、じゃあそのベッドの女は何だってのよ」
「僕の愛を信じて」
「三角関係のゴタゴタなんかごめんだからね」
「僕の愛を信じて」
「だ〜か〜ら!!、その女は何なの」
「僕の愛を信じて」
「信じて信じてって、そればっかで信じられるわけないでしょ」
「僕の愛を信じて」
「はあー……」
「僕の愛を信じて」
「結局その女が好きなのね」
「好き嫌いとかじゃなくて、僕の持病を治すには彼女にこうしてもらうのが一番なんだよ」