2014年7月27日日曜日

【メモランダムほぼ自分用編】もしも西荻窪の古本屋がピケティの『21世紀の資本』(PIKETTY,T.-Capital in the Twenty-First Century)を読んだら

 えー、すいません。まだ読み切ってないんですが、ちょっと印象が冷めないうちにメモしとこうと思いまして、ほんとすいません。
 ほぼ自分用メモなんで、けっこう適当にかっとばします。興味のある人は拾い読みしてください。


A Debate without Data?
 富の分配については、長い間たっぷりの偏見とちょっぴりの事実によって、議論がなされて来た。
 だいたい昔の理論的な公正だの統計的な分析だのは間違ってた。
 むしろ十九世紀においては映画や文学のほうが、当時の不平等をもたらす構造や、それを正当化する手段についてとってもリアルに語っていた。ジェーン・オースティンやオノレ・ド・バルザックなんかがその代表だ。
 (オースティンは夏目漱石が「天才」と評していたっけ。バルザックの社会描写はマルクスに多大な影響を与えた。ただし、バルザック自身はすっごい保守的な思想の持ち主)
 彼らの描き出す社会の不平等性は、統計や理論なんかよりずっとリアルだった。

 ある人々は、間違った考えによって世界はどんどん不平等になると言い、別なある人は、ほっとけば不平等なんか自然に解消されると言った。
 これまでの社会科学的な調査は限定的なものだったが、この本でそれがひっくり返されることになるだろう。(と、ピケティはいきなり宣言する)

Malthus,Young, and the French Revolution
 英仏で経済学って者が誕生したのは、十八世紀の終盤から十九世紀の初めにかけてだ。(このブログでもちょい前に書いたっけ)人口爆発に産業革命に移民などなど、これまでにない現象が次々に起こった。
 
 マルサスはいろいろと鋭い指摘はしたけど、『人口論』のソースは貧弱なもんだった。
 革命直前(一七八七〜八八年)にフランスのカレーからピレネー辺りをうろついたアーサー・ヤングは、革命の原因がフランスの人口爆発にあるとした。当時のフランスの農業生産が人口の増加に追いつかなかったのだ。(革命の直接の引き金は飢饉にあるが、それ以前にもっとひどい飢饉も何度かあった。それなのになぜその歳に限って革命が起きたかと言えば、人口爆発によって第三階級の若年層が過剰なまでに増加していたこと、そして可視的な問題として、飢えに泣く子どもがそこら中にいた、といことがあるかと思う)
 マルサスはヤングよりも過激な結論をそこから導きだした。
 貧困の再生産は人口爆発の混乱と悲劇をもたらすので、福祉なんか一切やめてしまえ、というものだ。

Ricardo, The Principle of Scarcity
(とりあえず、リカード経済学及び課税の原理』のかんたんまとめ。三大階級への分配問題にしぼりつつ、商品の相対価値が労働によって決定されるという労働価値説(アダム・スミスと同じやね)から、他の命題を演繹する。
1.労賃と利潤は対抗的に変動する。賃金が上がってもそれは物価上昇に直につながるわけじゃないってこと。単に生産者の儲けが減るだけ。
2.地代は価格の構成要素に入らない。人口が増えて耕作地が広がると、地代ばっかかかるようになる。値段は上がらず儲かりもせず、金は貯まらない。
3.労働者がほいほい移動できない環境では、各国それぞれに得意な産業を持ち、国際分業した方が儲けやすい。
4.一般的に過剰生産なんてない。セーの法則ってやつで。
5.不換紙幣の乱発はインフレを起こす。
だいたいこんな感じ?これらは後にケインズによって批判された。)

 希少性の原理the principle of scarcityを無視するのは、二一世紀の国際分業を考える上で間違っている。
 希少性の原理は価格を上昇させ続け、そのシステムは一部の金持ち連中の手によってなり、それは倫理も尺度も遠慮も会釈もなかった。
 リカードの農地についてのモデルを、都市の不動産や原油価格に置き換えると、国家間だけではなくそれぞれの国家に於ける、リカードの黙示録とでも呼びたくなるような不平等が起きる。

 とりあえず今日はこんくらいで。

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以下、続いて書かれたエントリーのリンク集。
読み進むにつれて触発され、「財産」が「世襲」される時に経済的な事象を越えた振る舞いをする、ということについて書こうと思いました。が、あまりに大きなテーマだったので途中で切り上げました。また勉強しなおして、取り組みたいと思います。

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