La Japonaise,1876 |
目玉は左画像の「ラ・ジャポネーズ」
印象派の巨匠モネの作で、今回大規模修復後、初の公開とのこと。モデルは奥さんのカミーユ。ちなみに奥さんは金髪ではなかったので、この絵ではカツラをかぶっているんだそうだ。さすがモネ、はずさないなツボを、て感じ。
なんとなくイメージしてたよりでっかい絵で、たたみ一畳くらいあった。これ以外は、「まあこれもジャポニスムと言えなくもないんじゃないかなと思えるような気がしないでもないような」レベルの作品も多く、えーと、その、当時の西欧美術へのジャポニスムの浸透ぶりがよく窺われるってことなわけだ。(やや棒読み)
で、これ、モネの「代表作」と展覧会では書かれているけど、昔のモネの画集からはけっこう外されてることが多かった。なんつーか、こういう「日本趣味」てやつに腹の底がむずかゆくなったんだろうね。似たようなむずむず感は、こういう展覧会が開かれてしまうこと自体にも感じるんだけど、最近は「日本人てのはそういうもんなんだからしょうがない」と開き直ることにしている。
さて、ジャポニスムはモネがこの絵を描いた時点では、まだ一部の趣味人に受容されていただけだが、この後一八八七年にピエール・ロティが書いた『お菊さん』がベストセラーとなり、一般にも認知されるようになった。
どのくらい認知されたかというと、作中に登場する娘mousméという単語が、そのまま外来語としてフランス語に入り込んでしまったくらい。ちゃんと思春期の頃の女性、という意味で。
現代ではさすがに使っていないと思うけど、プルーストの『失われた時を求めて』なんかでは、主人公がアルベルチーヌに再度引き寄せられるきっかけになる言葉、として登場する。
そしてゴッホも『お菊さん』を読んだらしく、"La Mousmé dans la fauteuil"(肘掛け椅子に座る娘)というタイトルの絵を描いている。
La moussé dans la fauteuil |
こっちはこっちで初見だったので興味深かったけど、これでジャポニスムならゴッホの絵って全部ジャポニスムだよな、と思わされてしまったりもした。
ちなみに、娘の感想は「広重のネコのもっちり感が良かった」とのこと。あと、解説文の「これのここに日本の影響が、あれのあそこに日本の影響が」というのは、「こじつけくさい」ということだった。ま、普通にそう思うわな。
La Berceuse(Augustine Roulin) |
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