「腹すかない?なんか食べたいもんある?」
「なんでもいい」
「んー、じゃ、パスタとかどう?」
「え〜〜、パスタぁ?」
「あ、じゃあ、がっつりトンカツとか」
「ダイエット中なんですけどぉ」
「えーと、じゃさじゃさ、あっさりとソバいってみるとか」
「ソバ……汁が服にはねるし……」
「あ、そうだ、もうファミレスにしよ。メニュー豊富だし」
「はあああ……、何それ……。結局それなのね」
「え、だめ?」
「いいけどぉ」
さて、ここで問題です。
この二人はファミレスが好きでしょうか?
……なーんて、そんなのは答えが分かりきってるわけだが、世の中にはそういうあったりまえだのクラッカー(←様式美)な答えをわざと見ない振りをしたりする、なんていう心的な機制が存在したりする。だってそうやってファミレスで無理にでも「旨いウマイ」と場をあっためないと、二人が別れることになりかねないからだ。人間関係の構築に必要な高度のスキルってやつでんな。
この「見ない振り」が個々人の人間関係だけに適用されるなら、別になんと言うことはないんだけど、それが「社会」というもの全体に関わってくると、ちょいとむずかゆいことになってくる。
で、先日のこの調査なんだけど。
世論調査 内閣支持は47%不支持は38%
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140714/k10013004781000.html
支持率が低下傾向にあっても現内閣にはまだまだ根強い人気がある……ようにみえる。
でもさ、
> 支持する理由では、「他の内閣より良さそうだから」が32%、「実行力があるから」が29%、「人柄が信頼できるから」が13%だ
支持理由で一番多いのが「他の内閣より良さそうだから」なんだよね。
えーっと、確かこれ、以前は「他に人がいないから」というやつだったと思うんだけど、なんか微妙に表現を「支持してます」っぽくしてる。
歴代内閣で支持ががっくり落っこちると、だいたい支持理由として「他に人がいないから」がトップになってきてたと思う。「他に人がいない」とか、限りなく「どちらでもない」に近い答えなわけで、これが上にくるってのはそろそろきなくさい臭いが漂ってくる状況なわけだ。
ところが、現内閣は今現在も47%もの支持があるという。
えっとさ、もうン十年も前の記憶で悪いんだけど、大学で「社会調査」てやつの単位を取ったとき、確か「どうでもいいけど、どっちかといえば◎◎かな」みたいなあいまいな解答が多すぎる時、設問もしくは質問者の態度がニュートラルではなく、どちらかにバイアスがかかっていることを疑わなくちゃなんない、て習ったように思うんだけどな。
世論調査で内閣支持率の調査がどんな感じで行われているか、というのは受けたことがないので分からない。なんでNHKは「他に人がいないから」じゃなくて「他の内閣より良さそうだから」にしたのかも知らない。別にこの曖昧な理由をなくせ、とは言わない。社会には曖昧な部分が多すぎるくらい多いからね。
でもさ、デートでファミレスしか行かないカップルって、どうだろう。ファミレスに恨みはないけど。
「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)
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