2013年11月6日水曜日

リアルという名の妄想続きの続き

 今年のノーベル経済学賞は、ユージン・ファーマロバート・シラーの二人が受賞した。ファーマは理論家というより実践家で、株価のランダム・ウォーク説の論文で名を挙げ、効率的市場仮説でのちっとも当たらない理論式をちゃんと当たるように改良した。シラーはニュー・ケインジアンで、「根拠なき熱狂」の名付け親としても知られている。
 で、この二人、まったく学説上では一致していない。
 シラーはランダム・ウォーク説を「経済学史上最大の間違い」 、効率的市場仮説を「経済思想史における言語道断な間違い」とまで断じている。
 しかし、二人は同時に受賞した。こうしたことは以前なかったわけではなく、ハイエクが受賞した時も、正反対に福祉を重視するミュルダールが同じく賞を受けている。
 こういうことが起きる時ってのは、だいたい経済学が大きな変革を迫られている時だ。


 さて、件のファーマがCNBCに出演して、ちょっと物議をかもす発言をした。

NOBEL PRIZE WINNER FAMA TO CNBC'S SANTELLI
http://www.businessinsider.com/fama-to-santelli-qe-is-a-neutral-event-2013-10

 ファーマが、「FRBのやってるQE(量的緩和)なんか、そんなに効果があったわけじゃないよ」みたいな主旨のことを口にしたのだ。
「基本的にどっちつかずだね。そんなにすごかったとは思えない」
「ちょ、ちょちょ、ちょーっと待って。それがたいしたことないんなら、中銀が毎日毎日毎週毎週やってる買取はどーなんのよ?ちゃんと金利を押さえ込んでるじゃん?」
「あんたにゃ難しすぎるから言わねー」

 例によって超訳だが、だいたいこんなニュアンスのことを言い放った。やな親父だね。
 それについては早速有名経済ブログに反論のエントリーが上がった。

Of Course Monetary Policy is an Asset Swap -- But that Doesn't Make it Any Less Useful
http://noahpinionblog.blogspot.co.uk/2013/10/of-course-monetary-policy-is-asset-swap.html


 ファーマはマクロ経済学的な効果から眼を背けすぎてる、と。ファーマは実践派なので、理論であれこれ言われても「ピンとこないもんはこない」人なんだろうな。

 で、こっから勝手な勘ぐりになるんだけど、確かにQEでばんばん金をばらまいて、つぶれかかってたGMは持ち直し、株価はリーマン・ショック以前まで開腹したけどさ、依然として失業率は高いまんまだよね。
 オバマは腐っても民主党だからオバマケアが始まったけど、受け付けるサイトが上手く働かなくて、 オバマの支持率はこれまでで最低になってる。AFN聴いてると夜中に延々とオバマケアの悪口言ってるね。日本で喚いてどーすんだ、って思うけど、日本の評論家が真に受けて「オバマケアは追いつめられてる」て書いたりするから、なにかしらの効果はあるのかも……やっぱないよな。基本的にオバマケア自体は支持されてるし。
 横道が長くなったけど、つまりはFRBが日銀を見習ってヘリコプター・マネーをばらまいたのに、それは下々まで行き届いてないように見えるのだ。あ、断っとくけど、ファーマはそんなこと言ってない。ファーマは下々のことなんか眼中にない人だからね。

 そして、日本では日銀が「異次元緩和」てのを盛大にやった。それまで年間でちみちみやってたのを、いっぺんにどどんとやったわけで、それなりに効果はあった。円は安くなり、株価は上がった。さあ、あとは賃金がアップすればアベノミクスはめでたく成功となるんだが……
 ここらへん、自分も「ピンとこないもんはこない」のだ。
 というか、なんか引っかかる。
 何が引っかかるのかについてはまた次回


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