2013年11月1日金曜日

未来を語ることが少なくなって久しいけれど


2020 日本列島未来予想図 (別冊宝島 2223)
    まだ二十世紀だった頃、人々はよく「未来」について語ったものだった。
 しかし二十一世紀と言う未来が本当にやってきて、人々は未来に関して言葉少なくなったと思う。
 原発が事故ってからは特に。

 現代の評論家先生の脳内では、未来と経済が直結していて、未来を語ることは即ち、日本経済の将来、株価とか円高とか円安とか貿易の赤字とか黒字とか国債とか金利とか、それらの諸々について語ることになってしまったようだ。
 まるで無邪気に未来を語ることは罪だ、とでも言いたげな空気を感じる。
 なので、ひねくれ者の自分は、童心に帰って無邪気に「未来」について語ってみたいと思う。

 まず、最近やっと自動車の無人運転が話題になってきたようだ。
 トヨタが自社敷地内でずっと実地検証していて、「法律さえ整備されればすぐにもできる」と年頭に語っていたのは、もう十年近く前のことだったと思う。やっぱりアメリカが旗を振らないと、こういうことって先に進まんのね。高速道路なんか自動運転にした方が、 うっかり居眠りで大事故なんてのがなくなるだろうから、とっとと導入すれば良かったのに。せめて妻がまちわびてやまない、自動車庫入れ機能はさっさと搭載して欲しいものだ。
 やがて、交通事故が限りなくゼロになり、「十年ぶりにサハラ砂漠で交通事故が起きました」なんてことがニュースになる、そんな未来が来ればいい。

 過度な期待は禁物なのかも知れないが、iPS細胞ってのは今どうなっているんだろう。
 どのような細胞も創り出せるのなら、手術等で失われた部分の再生も可能になるだろう。人々が老いや病いを、必要以上に恐れなくてもよくなるかも知れない。

 アメリカではシェールガス革命が起きつつあるという。
 ちょっと前の日本では石油を創り出す藻類、オーランチオキトリウムが話題になって何年か立つが、こちらが採算に乗れば革命どころの話ではなくなると思うのだが。最近、貿易赤字の話をする人はいても、これのことはすっかり忘れられているように感じる。「これで将来日本が産油国になる」って言ってた人はどうなったんだろう。

 ……とまあ、指折り数えてみても、なかなか閉塞感の霧が晴れるものではない。
 それはやっぱり日本経済の将来が見えないから、ということなのかも知れないけど、なんかそれっておかしいよね。
  とにかく「経済成長」、なにをさしおいても「経済成長」って、今の世の中すっかり経済原理主義みたいになってるけど、順序が逆でない?

 本来、社会が発展するにつれ、その結果として経済が成長するもんでしょ。
 それを逆にして、経済だけ先に成長させれば、社会がその後から発展してくるだろうとか、そういうのって 田舎にでっかいコンサートホールを造ったら自然に人が集まってくる、とか考えるのと変わんないんじゃないの?
 無理矢理経済だけ成長させても、なかなか幸福がいきわたらないのは、今の中国を見れば分かること。こないだの天安門のテロだって、主張はどうあれ根っこにあるのはそういうことでしょ。

 この「経済成長」を打ち出の小槌のように振り回すのは、主に「新自由主義」と呼ばれる方面の方々に多いんだけど、そういうのがそろそろ行き詰まってきた、てのが「閉塞感」の本当の原因なんじゃなかろうか。

 えー、ちょっとこの話、次回に続きます。すんません。

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