レミングー壁抜け男 [DVD] |
レミングという有名なネズミがいる。ネズミ算式に増えまくって、増えすぎると集団自殺をして数を調整する、という習性で知られている。
それは、大戦末期に「一億玉砕」を唱えていた日本人に、ミッキーマウス以上の強い印象を与えた。
が、実際はほぼ作り話である。
この話が広がったのは、ディズニーのドキュメンタリー映画 ”White Wilderness”のせいだ。この集団自殺シーンを撮影するために、レミングをかき集めて海へと追い落としたとのこと。
現代ならグリーンピースが黙っていないだろう。きっとナスカの地上絵の隣に、でっかいミッキーマウスを描いて、その下に「僕たちを殺さないで!」と書きつけるに違いない。そしてペルー政府から怒られたついでに、ディズニーからは著作権料を請求される、というオチになる。
しかし、たとえデマが元でも、有効なレトリックは生き残る。現状の日本経済の状況について、レミングに例える人もいる。
The Curse Of Keynesian Dogma: Japan’s Lemmings March Toward The Cliff Chanting “Abenomics”
http://davidstockmanscontracorner.com/the-curse-of-keynesian-dogma-japans-lemmings-march-toward-the-cliff-with-abenomics/
「ケインズ主義のドグマの呪い」だってさ。アベノミクスが本当にケインズ主義だったら、今頃消費税なんか逆に減税されてたと思うけど。
さて、来年は未(ひつじ)年だが、実は羊について、レミング伝説の元になったのでは、と言われている話がある。
ラブレーの『パンタグリュエル』にあるエピソードで、「パニュルジュの羊 Les Moutons de Panurge」と呼ばれるものだ。
パンタグリュエルの家来パニュルジュは、船に乗り合わせた羊飼いに侮辱(?)され、復讐を企てる。
黙って羊の群れに近づくと、そのうちの一頭をかついで海へと投げ込んだ。すると、他の羊たちもその羊の後を追って、どぶんどぶんと海へと身を投げてしまったのだ。羊というのは、一頭がどこかへ駆け出すと、残りの全部もそれについて走っていってしまう性質がある。その習性は羊飼いにもとどめることはかなわず、羊を失った羊飼いはあわれにも一文無しになってしまった。
……と、だいたいこんなような話。最後にラブレーは、アリストテレスが『動物誌』の中で「羊は四足類の中でも一番劣悪」と述べている、と付け足す。
とかく羊というのは、自分からはあまり動かないとされる。なので、草地でほっとくと、たちまち根こそぎ食いつくし、土を踏み固めて不毛の荒れ地にしてしまう。少しづつ動きながら食べさせなくてはならないので、羊飼いはたいていヤギを群れに混ぜておく。ヤギは食べながら移動する習性があり、羊はそれに釣られて動いていくので、土があまり踏み固められない、という寸法だ。
「ハイジ」でもヤギが出て来るのはそういうわけだ。
では実際に「パニュルジュの羊」のようなことが起こりうるのだろうか?
てなことを言ったら、ラブレーが地獄を揺るがす勢いで大笑いすることだろう。
いくら羊が「一番劣悪」な動物だからといって、ただの習性を自分の命より優先させることはないからだ。
そんなことをする愚かな動物は、人間だけである。
アリストテレスが「四足類の中で」と但し書きをつけたのは、そういうことかもしれない。
もしも周りのみんなが海に飛び込み始めたら、どんなことをしてでも船に残ろう。
卑怯者と呼ばれても、非国民と罵られても、それが羊の生き残る道なのだ。
「ケインズ主義のドグマの呪い」だってさ。アベノミクスが本当にケインズ主義だったら、今頃消費税なんか逆に減税されてたと思うけど。
さて、来年は未(ひつじ)年だが、実は羊について、レミング伝説の元になったのでは、と言われている話がある。
パンタグリュエル― ガルガンチュアと パンタグリュエル 〈2〉 (ちくま文庫) |
ラブレーの『パンタグリュエル』にあるエピソードで、「パニュルジュの羊 Les Moutons de Panurge」と呼ばれるものだ。
パンタグリュエルの家来パニュルジュは、船に乗り合わせた羊飼いに侮辱(?)され、復讐を企てる。
黙って羊の群れに近づくと、そのうちの一頭をかついで海へと投げ込んだ。すると、他の羊たちもその羊の後を追って、どぶんどぶんと海へと身を投げてしまったのだ。羊というのは、一頭がどこかへ駆け出すと、残りの全部もそれについて走っていってしまう性質がある。その習性は羊飼いにもとどめることはかなわず、羊を失った羊飼いはあわれにも一文無しになってしまった。
……と、だいたいこんなような話。最後にラブレーは、アリストテレスが『動物誌』の中で「羊は四足類の中でも一番劣悪」と述べている、と付け足す。
とかく羊というのは、自分からはあまり動かないとされる。なので、草地でほっとくと、たちまち根こそぎ食いつくし、土を踏み固めて不毛の荒れ地にしてしまう。少しづつ動きながら食べさせなくてはならないので、羊飼いはたいていヤギを群れに混ぜておく。ヤギは食べながら移動する習性があり、羊はそれに釣られて動いていくので、土があまり踏み固められない、という寸法だ。
「ハイジ」でもヤギが出て来るのはそういうわけだ。
では実際に「パニュルジュの羊」のようなことが起こりうるのだろうか?
てなことを言ったら、ラブレーが地獄を揺るがす勢いで大笑いすることだろう。
いくら羊が「一番劣悪」な動物だからといって、ただの習性を自分の命より優先させることはないからだ。
そんなことをする愚かな動物は、人間だけである。
アリストテレスが「四足類の中で」と但し書きをつけたのは、そういうことかもしれない。
もしも周りのみんなが海に飛び込み始めたら、どんなことをしてでも船に残ろう。
卑怯者と呼ばれても、非国民と罵られても、それが羊の生き残る道なのだ。
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