2016年3月27日日曜日

ざ!じゃぱにーず!!!

日本人の英語 (岩波新書)
続・日本人の英語 (岩波新書)



 もう二十年も前のベストセラーだが、今持って少し気になる記述がある。知る限りでは誰も指摘してないようなので、ここでちょっと書いてみようと思う。
 まず引用。続の19ページから。

……………
……それより気になるのは、"The Japanese"という定冠詞の使い方である。定冠詞は、文字通り「決まったもの」を表わすが、この場合、"The Japanese"が、誰に、どういうふうに一つの「決まったもの」にされているのかをよく考えると、このtheの使い方がやや恐ろしく感じられる。

……"The Japanese"という表現には、すべての日本人を、一人残らず、一つのものとして取り上げてかまわない、それぞれ個人の差があると思わなくてよい、という前提がある。これは、日本人もアメリカ人も同じ人間集団という常識があるにもかかわらず、平気で使われる表現であるので、「愚かさによる前提」と言ってもよいであろう。
…………



 ……というわけだが、この本よりちょいと以前の大ベストセラーにこういうのがある。
ザ・ジャパニーズ―日本人 (1979年)
  当時、なんで誰も何も言わなかったんだろうか?

 この『ザ・ジャパニーズ』の著者、E.O.ライシャワーはアメリカの駐日大使なんだが、こういうタイトルで本が出てしかもベストセラーとか、えーごの分かる人たちは何やってたんだろう。知らんはずがないと思うが。

 日本人の特徴として、「日本人論が好き」というのがあって、昭和の五、六十年代くらいは、「外国人が書いた日本人論ならなんでも飛ぶように売れた」時代でもあった。『ジャパン・アズ・ナンバーワン』なんかが代表的だ。
 中にはガイジンのフリして日本人が書いたのもあって、それがまたアホみたいにもてはやされたりした。


 これら三冊が有名なところか。
 きっとその伝統は、名前にカタカナの入っている外国人と結婚したおばさんとかが書いたものがとってもありがたがられる、というところにつながっていて……


 さらには、自分の国を過剰にほめまくるという、なんとも恥ずかしい事態を引き起こしている。 
 なんか、一杯呑むと「自分語り」が止まらないのでコンパに呼ばれない残念な子、みたいだ。

 ちなみに、上掲のライシャワーは、ベトナム戦争のときにちょっとしたごたごたを起こしている。
 それは『石に書く―ライシャワー事件の真相』という本に詳しい。
 日本の記者が北ベトナムに潜入して、北爆のときに米軍の誤爆で病院が破壊されたことなどを報道したら、「全部でっちあげだ」と猛抗議してきたのだそうだ。

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