クリスチャンなら「聖書でーす♡」と答えときゃいいんだろうけど、こっちはそうもいかない。仏教徒は大般若経を愛読したりしないし。だいたい「愛読書」ってなんだ。そんな毎日毎日同じ本を読むなんてのは、出版点数が極端に少なかった頃の習慣じゃないのか。
葉隠 (講談社学術文庫) |
バレエの振付けに哲学を持ち込んだといわれるモーリス・ベジャールの愛読書は『葉隠』だった。毎晩寝る前に少しづつ読んでいたという。
コンサート活動を一切やめてレコードだけ出し続けたピアニスト、グレン・グールドの愛読書は夏目漱石の『草枕』だった。死んだ時も、枕元に聖書と重ねて置かれていたそうだ。
草枕 (1950年) (新潮文庫) |
未だ「愛読書」に出会えていない私は、もしかすると不幸な人間なのかも知れない。
しかし、それが「書籍」というものを商う人間の宿命、というものではないだろうか。「書籍の宿命」(ファトゥム・リベローヌム)というものがあるのなら、それを扱う人間も巻き込まれることはあるだろう。と、かっこつけてごまかしておこうか。
だいたい、本当の本当に愛してる本なんてあったら、人に教えたりしたくないよねえ。違うかな。
しかし、それが「書籍」というものを商う人間の宿命、というものではないだろうか。「書籍の宿命」(ファトゥム・リベローヌム)というものがあるのなら、それを扱う人間も巻き込まれることはあるだろう。と、かっこつけてごまかしておこうか。
だいたい、本当の本当に愛してる本なんてあったら、人に教えたりしたくないよねえ。違うかな。
「草枕」変奏曲―夏目漱石とグレン・グールド |
漱石とグールド―8人の「草枕」協奏曲 |
注:このエントリーは以前書いたものを少し書き足して再録したものです。
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