「トムとジェリー」は元々二本立て映画の合間、フィルムをかけかえる時間の場繫ぎとして作られたものだ。日本でテレビ番組向けに再編され、例の主題歌もつけられた。
Life in London |
そして、昭和四十年代を生きる幼い子供たちに、チーズに必ず穴があるとか、スパゲティは全部一本でつながってるとか、一見深刻に見える状況もスラップスティックにしてしまえるとか、そういうことを教え込んでくれたわけだ。
で、その「トムとジェリー」だが、その名前の元は十九世紀イギリスの小説、”Life in London"からきている。副題が”Or, The Day and Night Scenes of Jerry Hawthorne, Esq., and his Elegant Friend Corinthian Tom, Accompanied by Bob Logic, the Oxonian, in their Rambles and Sprees through the Metropolis”とまあ長々と続き、この中のジェリー・ホーソーンJerry Hawthorneとコリンティアン・トムCorinthian Tomが「トムとジェリー」というでこぼこコンビの定番となり、後にアニメのネコとネズミの名前になったたわけ。この二人、この本の中では従兄弟同士。トムはしゃれた都会人で、ジェリーはまぬけな田舎者という設定になっている。なんかアニメだけ見てると、逆のイメージがあるけどね。
で、この元々の元の「トムとジェリー」が生まれた時代てのは、イギリス黄金期のヴィクトリア朝のちょい前、ジョージ四世という伊達男が仕切っていた頃だ。先代のジョージ三世が発狂したため王子のころから摂政をつとめ、摂政王太子regent-princeと呼ばれた。今も残るリージェント通りの名はここから来ている。この時代は摂政時代Regencyと後に名付けられ、けっこうでたらめでいい加減な時代だった。ジョージ四世自身もかなりの浪費家で、王子時代に王室予算の半額にのぼる借金をこさえたりしている。でもナポレオンに勝ったけどね。
そして"Life in London"が出版された一八二一年という年にジョージ四世は戴冠し、その翌年にスコットランド行きを企てる。
このときジョージ四世が、スコットランドの民族衣装であるキルトを身につけ、現地で大好評を博したことから、イギリス王室はスコットランドですごす際はキルトをまとうのが慣例となった。えーと、なんつーか、チャールズ内股なんだね。
とにかく、スコットランドを起原とするスチュアート朝が断絶して以来、やや微妙な空気が流れていたイングランドとスコットランドは、かくして改めて同君連合の絆を固めたというわけなのだ。
とまあ、スコットランド独立が過半数なんてな報道に接したとき、こんなうんちくたれをだらだらと思い出し、王室との関係はどうすんのかなあ、なんてなことが頭に浮かんだわけ。
Keep the Queen out of the Scottish referendum campaign, Buckingham Palace says
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/scotland/11085691/Keep-the-Queen-out-of-the-Scottish-referendum-campaign-Buckingham-Palace-says.html
とりあえずは様子見みたいだけど。
そういえばショーン・コネリーはスコットランド独立派だけど、今どうしてんだろ?
ちなみに、男性用キルトの裏側には、大事な所がぶらぶらしないように、ポッケがついてるってのは本当なんだろうか。
スコットランド・キルト・コレクション (制服・衣装ブックス)
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