前回、出版物の内容が昭和七、八年くらいからおかしくなってくると書いたけど、二・二六事件で戒厳令を敷いた後、政府はとにかく統制することを楽しむかのようになる。八つ当たりを覚えた幼児のように、ちょっと癇に障るとなんでもかんでもなぎ倒す。
昭和十二年には、内務省が講談社や中公や文春の社長を呼びつけて、「
国民精神総動員」への協力を要望、てか「やれよ、おまえら」と強制する。
まあ猥本やら思想関係が統制されてるうちはまだ良かったんだが(良かないけどね)、そのうち禁止するものがなくなってくると、文学作品を禁ずるようになる。エロい描写があるとかグロい表現があるとかに始まって、ほとんどいちゃもんとしか思えない理由で、内容が大幅に削除されるようになった。
以下、今では普通に手に入るものを何冊か並べてみる。
なんだこのラインナップ。たぶん、規制してる人って全然読書しない人だったんだろうな。
で、削除される前の本をちゃっかり売っていたのが古本屋だったわけで、当時はけっこう儲かったという話もあったようななかったような。
この世にあって、真っ先に禁止されるべき書物とは、禁書目録である。
リヒテンベルク『アフォリズム』
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