なんだか古臭いハリウッド映画でも見せられてるような気分になる。脚本はフランク・ピアソンか?
この映画の困った所は、ウクライナ国民のすべてがエキストラであり、そのエキストラたちは出演料をもらうどころか「払う」立場にある、ということだ。
さあて、ここらあたりから落合信彦ばりの国際情勢分析とやらを展開してみたくもあるが、あいにくCIAに知り合いはいない。しかし、伝わってくる情報がなんだか口当たり良く加工されてるってことはよくわかる。こちとら伊達に歳食ってるわけじゃねえんだ。
悪しき独裁者が立ち退いた跡には、かならず「国民の富を収奪した豪邸」が残され、バカバカしいほど悪趣味な贅沢品の数々が衆目にさらされる。マルコスの時はイメルダの靴だったっけ。こうした前例に違わずヤヌコーヴィチという逃げた大統領の「豪邸」が、マニュアル通りにさらされたわけだが……
このように、いつものわかりやすい演出にのっとり、お手軽三分クッキングな「悪役」づくりがなされてるわけで、見てるこっちは「またか」としか思えない。これって、パナマの時のシナリオの焼き直しなんじゃないの。あん時のアメリカの役を今度はロシアがやることになりましたー、てことじゃないのかな。それともこのあと、驚天動地の大どんでん返しでもあるのかしらん。たとえあったとしても、ダリル・ザナックみたく無理やりハッピー・エンドにしちゃうんじゃないの?
などと、賞味期限が一年前に切れてるインスタントラーメンをすすってるような気分になっていたところ、ドイツのシュピーゲル紙からちょっと違った視点での報道があった。
How Oligarichs in Ukraine Prepared Fall in Yanukovych
http://www.spiegel.de/international/europe/how-oligarchs-in-ukraine-prepared-for-the-fall-of-yanukovych-a-955328.html
今回のごたごたは、背後でオリガルヒというロシアの新興財閥が糸を引いている、という。オリガルヒってのは、ザナックよりももっとタチの悪い連中で、混乱を創り出してはそれに乗じて金儲けをする、という火事場泥棒みたいなことをくりかえしている連中なのだ。
先にネタ元をバラしちゃうと、ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』になるんだけど、次回からこの本の内容に沿って気になる部分をまとめてみたいと思う。
とんでもない話が目白押しなんで。
ショック・ドクトリン〈上〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴く ショック・ドクトリン〈下〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴く
念のため断っておくと、この本は2007年に刊行されたものなので、もちろん今回のウクライナについてはふれていない。
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