音楽では、ルイジ・ノーノの『力と光の波のように 』とか。
絵画だと、F.S-ゾンネンシュターンだとか。
写真家だとジョエル=ピーター・ウィトキンだとか。
(ちょっとアレな画像なんで、 興味ある方はリンクからどうぞ。グロ注意)
http://www.edelmangallery.com/witkin.htm
http://www.zonezero.com/exposiciones/fotografos/witkin/jpwitkin1.html
そして文学では、『神聖喜劇 』がそのカテゴリーに入ると思う。
このダンテの『神曲 』の本当のタイトル La Divina Commediaを直訳した題を持つ長大な小説は、まさに「ここより入りし者、一切の希望を捨てるべし Lasciate ogne speranza, voi ch'intrate 」と言いたくなる出来だ。一応うんちくをたれておくと、この台詞はダンテの『神曲』に登場する地獄の門に掲げられた一節である。ヘーゲルも自分の教室の一室に掛けていたそうだ。ヘーゲル、けっこうロマンチストやね。
そして、この小説の作者である大西巨人が亡くなった。享年九七。作家としてはずいぶん長生きだ。よほど閻魔から嫌われたとみえる。
作家の大西巨人さん死去
http://www.asahi.com/articles/ASG3D53Y9G3DUCLV00J.html
『神聖喜劇』は戦争文学として最高峰であり、比肩しうるのは大岡昇平の『レイテ戦記 』くらいだろうと勝手に評価している。チャーチルの『第二次世界大戦 』がノーベル賞なら、 こっちは十回くらい受賞してもいいくらいだ。
だがしかし、そう簡単にこの小説をおすすめはできない。
なので、こうやってエントリーを書いてても「いいのかな……」というためらいが指から離れない。
さらにまた恐ろしいことに、これ漫画(劇画)にもなってるんだよね。
ところが、これもまたいっそうおすすめできなかったりする。
自分でも何が言いたいのやらな展開になってきたが、ふつーの小説に飽き足らない人、少々のことに動じない心の丈夫な人は読んでみてもいいんじゃないかなと思ったりしたりすることもあるような今日この頃なのであります。
R.I.P.
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