2015年11月30日月曜日

おばけは死なないから水木しげるは死なないはず

総員玉砕せよ! (講談社文庫)

 水木しげるの訃報を目にした時、思わず「げ」と声が漏れた。続いてついつい「ゲゲゲのゲ」と歌ってしまった。
 と、このように書いていても、全くその死を事実として受けとることが出来ない。いやもう、生きながら妖怪になっている人が、今更「おかくれ」になったからと言って、何を悲しむことがあろう。きっと今頃、身軽になって、そこら中を飛び回っているに違いない。

 調布と言う町に長く住んでいるので、妖怪水木しげるに出くわすことはままあった。飄々という形容詞がよく似合う態で、自転車に乗ったりコンビニで中華まんを買ったりしていた。
 きっと調布市では何らかのイベントが開かれることだろう。
 しかし、町中で喪に服すとかは願い下げにしてもらいたい。
 そうだ、以前こんなネタをブログに書いたことがあった。


……水木しげるは永年探し求めたものが、この町にあることを耳にした。
「超不思議界」、それが実際に存在するのだ。
 なんという灯台下暗し、自らの住む町にそれは在るという。
 しかも、町でその存在を知らぬものはないというではないか。
 試しに駅の本屋で聞いてみると、店員さんがにっこり笑って場所を教えてくれた。
 驚きあわてて教えられた場所に行ってみると、それは駅からほど近いところにあるビルだった。
 入口に立つ警備員にきいてみると、やはり何事もないかのように場所を教えてくれた。
 水木しげるはエレベータに乗り、震える指でボタンを押した。
 やがて目的の階に着き、扉が開くと、目指す入り口の看板が目に飛び込んできた。
 そこには大きく、そしてはっきりと、こう書かれていた。




「調 布 市 議 会」


 ……はいそこ、ツッコミはいらないから。
 えー、調布市議会はいっそ、水木しげるを記念して「超不思議界」に改名してはどうだろう。一日だけでもいいから。


水木しげるのあの世の事典

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