2015年11月18日水曜日

裸の王様のおとなりで女王様が裸踊りしているという状況について

「王様は裸だ!」というのはよく政治の場で使われるレトリックである。
 では、女王様の方は裸にならないのだろうか?その方が大衆に受けるし、子供がそれを指摘したなら、周りの人間が必死で子供を黙らせるだろう。
 経済学という学問は、「社会科学の女王」を名乗っている。
「王様(政治)」はよく裸にされるのに、「女王様(経済)」が裸にされないのはなぜか。やっぱ倫理的な問題があるのか。
 つまらんジョークはさておき、人が経済学に対してつっこみづらいのは、やっぱり貧乏より金持ちがいいし、不況より好景気がいいし、そうした大衆の欲望を体現する学問だからだろう。

 が、しかし、その「女王様」が、ストリップをおっぱじめてしまっている。他ならぬ、この日本で。

Rethinking Japan

ポール・クルーグマン、
そして日本経済が世界の希望になる
 (PHP新書)
上にリンクしたのは、ノーベル賞経済学者ポール・クルーグマンのブログである。クルーグマンはアベノミクスを大いにあおり立て、「そのうち世界中が日本を見習うようになるだろう」とまで言っていた。
 ところがここにきて、アベノミクスは二年連続リセッション(景気後退、四半期のうち二期連続でマイナス成長になるとそう判断される)という結果となり、さすがのクルーグマンも考え直すrethinkingことになったというわけだ。
 ブログのエントリーを見るとわかるけど、とにかく日本の人口減少の影響がハンパない、ということを言い訳にしている。
 人口の減少?
 あれ?ちょっと前にそれについて言ってなかったっけ?
 てなわけで、その「ちょっと前」にクルーグマンの書いた人口のあれこれに伴って、こちらで書いたエントリーをリンクしておこう。

クルーグマン先生によると女王様は裸で自転車に乗っているようです

 要点をかいつまんで繰り返すと、

 経済学ってのは、人口が増加するかまたは一定である、てことを暗黙の了解implicit assumption にしてるから、その理論のほとんどは人口が減少してくると役に立たない。

 ということ。
 当ブログでは「女王様の裸踊り」とタイトルに付したエントリーでもって、このことを何度も何度も繰り返している。 アベノミクス以前から。
 今回、はからずもノーベル賞経済学者であられるポール・クルーグマン先生御自ら、そのことを証明してくだすったわけで、恐懼々々謹厳々々という次第だ。

 ま、しかし、政府はあいも変わらず「ゆるやかに回復中」と言い張っており、その辺も以前推察した通りではあったりする。
リアルという名の妄想続きの続きの続き
>アベノミクスで引っかかることってのは「絶対成功することになってる」こと。「失敗が許されない」どころの話じゃない、「たとえ失敗しても成功したと言い張る」てことがあらかじめ決ってる。なんでそれがわかるかというと、何をもって成功と言うかの基準があいまいだから。あいまい、てか、「無い」から。

 さて、これからどうなりますやら。
 もし「戦争景気」でちょこっと持ち直しても、喉元過ぎれば元の木阿弥だからね。



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