2015年2月23日月曜日

【やっぱり出てきた読んでない人を騙そうとする本を読まずに罵倒するついでに他のオススメをご紹介編】もしも西荻窪の古本屋がピケティの『21世紀の資本』(PIKETTY,T.-Capital in the Twenty-First Century)を読んだら

 昨日の続きのはずだったんだけど、ちょっとびっくりな話題が飛び込んできたのでそっちにしたい。

「ピケティ格差解説」TV番組に出たら、出演者がみんな「所得トップ1%に入る年収」だった

 あー、なんだこれ。ピケティが問題にしてんのは、資本(資産)の格差であって、所得の格差については流動的だから大した問題とはしてないんだが。
 ツール・ド・フランスの解説として東京マラソンを例に出してるというか、原発の問題を語るのに交通事故の統計を出してくるとか、ウルトラマンの話をしてる最中に「ドラえもんとウルトラマンってどっちが強いと思う?」とわめき出すとか、普通に考えれば全然ベクトルが違うのに、どこかでつながってるように語られてしまうとよく知らない人は丸めこまれてしまう、そんな感じの、なんつーか、マルチ商法でカモをつかまえる人が得意としてそうなやり口だ。
 しゃべってんのは高橋洋一って人で、一応ピケティの解説書とやらも出してるらしい。
  どうやら、自分が今までくっちゃべってきたこととピケティを照らし合わせると、どうも自分の方に分が悪いので、無理矢理それっぽい論を言い立てて、自分の論こそが正しいかのように見せかけているようだ。
 もうこれでこの人の書いた『ピケティ入門』は、早々と「2015年度読まなくてもいい本」に殿堂入りすることになった。ぱちぱち。

 この人って、これ以外にも右みたいな本を出してて、なんかアベノミクスの仕掛人も自認してるみたい。
 で、そのアベノミクスは今も八割に実感がなく、

景気回復「実感ない」81% (日経)

 こないだの方針演説でも一回しか言及されなくて、
もう賞味期限切れ 施政方針演説から「アベノミクス」が消えたhttp://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/157244

 なんだかみんな「口にしちゃいけない」ような、民俗学の「忌み語」みたいになってんだけど。

 あと、あんま下世話なことは言いたかないけどさ、この人2009年に窃盗で逮捕されてんだよね。
 以下Wikipediaから。
>2009年(平成21年)3月24日、東京・練馬区の温泉施設 『豊島園 〜庭の湯〜』の更衣室ロッカーから、高級腕時計「ブルガリ」や財布など約30万円相当を盗んだ現行犯で事情聴取された。
>3月30日、窃盗の容疑で書類送検された
 一生懸命あやまりたおして起訴は猶予されたみたいだけど、こんなごまかしばっか喋ってると、いちいち思い出してみたくもなるよ。

 まあ、こないだ出たニューズウィーク日本版 とかもひでえもんだったけどね。やっぱちゃんと理解したい人には、現代思想の方をお勧めするッス。
現代思想 2015年1月臨時増刊号◎ピケティ 『21世紀の資本』を読む -格差と貧困の新理論-
 あと、こないだ本屋をぶらついててたまたま見つけたんだけど、堀之内出版から出てるΝύξ(ニュクス)という雑誌の最新号に、ピケティがちょっと辛抱、いや時間の足らない人向けに書いたショートバージョンの論文が載っている。値段も一八〇〇円(税抜)とお手頃だし、第一特集の「<エコノミー>概念の思想史」がいろいろめんどくさいことを考えたい人向けでオススメ。私も早速ぱく、じゃなくて、参考にさせてもらうことにしたい。
 ただこの雑誌、アマゾンにも紀伊国屋にも登録がなく(諸般の事情で遅れてるらしい)、会社のHPにもほとんど情報がないんで、せめてこのブログで大いに宣伝しておくことにしよう。(だめ?だめなら言ってね♡)

目次
第一特集
<エコノミー>概念の思想史ーーアリストテレスからピケティへ[主幹・佐々木雄大]

・<エコノミー>の概念史概説ーー自己と世界の配置のために 佐々木雄大
・教父哲学におけるオイコノミア 土橋茂樹
・『天使』への序論 ジョルジョ・アガンベン[岡本源太訳]解題ーージョルジョ・アガンベン「『天使』への序論」を読むために 岡本源太
・修辞学における「エコノミー」ーー実践・配置・秩序 星野太
・『百科全書』と啓蒙思想からみた「エコノミー」 隠岐さや香
・「経世済民」から「経済」へ 坂東洋介
・エコノミー、経済統治、あるいは自然均衡ーーオイコノミアからの複線的伏流 深貝保則
不平等の長期的趨勢 トマ・ピケティ/エマニュエル・サエズ[西亮太訳]解題ーートマ・ピケティは「保守」か、「革新」か? 斎藤幸平
・経済 êconomieーー『アドラシオン』よりジャン=リュック・ナンシー[メランベルジェ眞紀訳]解題ーージャン=リュック・ナンシーの「エコノミー」論 柿並良佑/「救済のエコノミー」についての注記 ジャン=リュック・ナンシー[柿並良佑訳]
・「搾取」と「自由」ーー剰余価値論の精神分析的展開 荒谷大輔

第二特集
現代ラカン派の理論展開 [主幹・松本卓也]
・ラカンのディスクール理論からみた普通精神病 マリー=エレーヌ・ブルース[松本卓也訳]解題ーー〈父の名〉の後に誰が来るのか? 松本卓也
・セクシュアリティの帰趨と症状の可能性ーー「一般化倒錯」という観点から 河野一紀
・後期ラカンの精神病理論から読み解く症例アンネ・ラウ 小林芳樹
・スキゾフレニーから自閉症へ 松本卓也
・自閉症について 向井雅明

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