また何が起こったのかと思えば、こないだ亡くなったやしきたかじんの遺産(?)をめぐって骨肉の争いがあり、百田尚樹というベストセラー作家が、一方にあからさまに肩入れした本を書いてもう一方を罵倒しまくり、罵倒された方が起こって訴えた、とのこと。
どういう成り行きなのか、他人様の家庭の事情に首を突っ込む趣味は無いんで勝手にやってりゃいいんだけど、もし出版差し止め即ち「発禁」になったら、すごく迷惑だなあとげんなりする。
これで裁判所への申し立てが通った日にゃ、店頭から『殉愛』とかいう本が消え失せ、これから先何年も古本屋に持ち込まれることになるだろうからだ。そういや、ひゃくたなおきって、百タタキに似てるよね。
あらかじめ断っとくと、親族からのクレームで出版差し止めってくらいで、古書価にプレミアがついたりしないから。
そういう、遺族or親族からのクレームで出版差し止めになった本、というと、まずはこれ。
三島由紀夫―剣と寒紅 |
テレビじゃおねえキャラがあふれかえるご時世に、何やってんだろうねえ。
事故のてんまつ (1977年) |
これは川端康成の遺族から訴えられたけど、絶版ということで和解が成立した。川端の出自について書いたことなどもまずかった、とかなんとか。
まあ、裁判になっても城山三郎の『落日燃ゆ』みたいに「問題無し」との判決がでることもあるけどね。
そういえば三島自身も『宴のあと』で、「プライバシーの侵害だ」と訴えられてたっけ。この件は訴えた当人が亡くなって、逆に遺族と和解が成立した。ちなみに「プライバシーの侵害」てのは、この裁判が元になって定着した言葉だそうな。
密告―昭和俳句弾圧事件 (1979年) |
戦前にあった「京大俳句事件」などの俳句弾圧についてのノンフィクションなんだが、「水枕ガバリと寒い海がある」などで知られる西東三鬼を「特高のスパイ」と書いたため、遺族から猛反発を受けて発禁。
とまあ、こんな具合なんだけど、えー、ここで紹介した書籍は、どれもたいして高くないものばかりで、ヘタすると百均の棚に並んでたりするんで、そこんとこよろしく。
なんでかっていうと、発禁になるとすごく売れるから。
もし『殉愛』とやらがその線を狙ってるとしたら、すごくやだなあ。
お願いだからそれを売る時は、ブック◎フに持ってって。ほんと頼んます。
発禁本―明治・大正・昭和・平成 (別冊太陽)
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