2015年7月2日木曜日

エロイムエッサイムエロイムエッサイムわれはもとめうったえたりエコエコアザラクエコエコザメラクアブドルダムラルオムニスノムニスベルエスホリマクわれのもとにきたりわれとともにほろぶべし

悪魔くん千年王国 (ちくま文庫)
 なんかちょっと興味をひかれる記事があった。

「巨額脱税…でも生活費は月5万円」ネット株億万長者が法廷で〝清貧〟アピールも…裁判長「感覚ズレている」と一喝
>弁護人の問いに、男は賃貸マンションの家賃こそ月15万円だが、月々の生活費は「光熱費1万円、食費3万円、ほか1万円」と打ち明けた。

>「予想して当たるというのが楽しいだけ。理解しがたいかもしれないが、旅行好きな人の中にも『旅行の計画を立てることが好き』という人がいる。(株は)その感覚に近い」「欲が減ってからもうけることができるようになった。欲に駆られてしまうと無理な取引をしてしまう」

 なるほど。どんどんお金を増やすこと「だけ」が目的となり、税金を払いたくなくなった、と。
 裁判長の一喝とやらはどうでもいいとして、この男の物言いは「高度資本主義」というものをわかりやすく表している。
 
 その昔、まだマルクスが生きていた頃は、金銭→物質→金銭と流れること「だけ」が、金を増やす算段だった。それが今では、金銭→金銭→金銭、と「物質」の入る余地がない。
 金融機関の多くも、その在り方はこの脱税男とたいして変わらない。ただ儲けるばかりで、それを使ってどうするという目標がない。「物質」をどこかに入れることなんか、ハナから念頭にない。だからどんなに「異次元緩和」をしても、古い新古典派(形容が矛盾してるなー)の経済学者たちが警鐘を鳴らすような、とんでもないインフレになったりしない。金銭はすぐさま金銭になり、その金銭もまたすぐ金銭に替えられるからだ。ま、その分経済も上向かないけど。

 なぜこのようなことが起こるのか。
 昔は「人間の欲望には限りがないから」とされていて、みんな「あー、そういうもんだよね」と納得していた。いやまあ、今でもしてるんだろう。
 それでも「墓の下まで持っていけるわけでもなし」と考える人もいた。いや、これも今だって存在はしている。パンダ並の数だけど。
 まあともかく、なぜただ「金銭」だけが欲望の対象となり、さらには社会の最終目標となったかというと、金銭が「質量」を失ったからだ。

 その昔、金銭が「金gold」そのものであった頃、その質量がそのまま価値に繋がっていた。それはヤップ島の巨大な石貨によく象徴されている。
 しかし、金銭はその質量をどんどん軽くしていった。貨幣はやがて紙幣となり、ついには電子的なただの「数字」となった。
 こうなったのは、「数字」というものの持つ「呪い」が、その原因である。

「数字」の持つ「呪い」とは何か?
 それは実体化である。
 その呪いは数字のみに限らず、「記号」というものすべてが欲望している。
 質量を失った「記号」、すなわち「数字」が、どのような「実体」を欲望しているのか、についてはわからない。
 ただ「欲望」のみがあって、「実体」などどうでもいいのかもしれない。
 とにかく、人間の扱う「記号」、もちろんそこに「言語」も含まれるけど、それらは「質量」を廃棄し、「実体」を求めるという「呪い」が本質として組み込まれている。
 そして、この「呪い」というのは、別に便宜的にそう呼んでいるわけではなく、あの非科学的で胡散臭くて信じるやつがどうかしているあの「呪い」と同じものなのだ。「呪い」ってのは普通、わけのわからん「言葉」を並べたり、何かに「記号」を書き付けたり、そういうことで「欲望」に「実体」を与えるものだからね。

 しかし、「数字」はいくら集めても「実体」を持ちえない。
 それゆえ、その「欲望」は限りがなくなってしまうのだ。

 と、ここで次回に続く。すんません。


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