2015年7月16日木曜日

民主主義ってなんだっけなんだっけ♪

「大人」たちは民主主義が嫌いだ。
 なぜ嫌いかというと、自分でものを考えなきゃならないからだ。
 なぜ自分でものを考えなきゃならないのが嫌いかというと、そういうことをすると「損」だからだ。
 なぜ自分でものを考えるのが「損」かというと、自分でものを考えるのはしんどいからだ。
 なぜ自分でものを考えるのがしんどいかというと、一生懸命考えても自分の思う通りにはいかないからだ。
 なぜ一生懸命考えても自分の思う通りにいかないかというと、それが民主主義というものだからだ。あれ?

 てなわけで、ここは一つ民主主義とはどのようなものか、ちょっと振り返ってみよう。



一戔五厘の旗

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民主主義の〈民〉は 庶民の民だ ぼくらの暮らしを なによりも第一にするということだ ぼくらの暮らしと 企業の利益とが ぶつかったら 企業を倒す ということだ ぼくらの暮らしと 政府の考え方が ぶつかったら 政府を倒す ということだ それが ほんとうの〈民主主義〉だ
(花森安治『一戔五厘の旗』)
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チェスタトン、正統とは何か

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 民主主義の第一原理とは要するにこういうことだ。つまり、人間にとって本質的に重要なことは、人間がみな共通に持っているものであって、人間が別々に持っていることではないという信条である。では、第二の原理とはどういうことか。それはつまり、政治的本能ないし欲望というものが、この、人間が共通に持つものの一つだということにほかならぬ。恋に落ちるということは、詩作にふけることよりもっと詩的である。民主主義の主張するところでは、政治(あるいは統治)はむしろ恋に落ちるのに似ていて、詩作にふけることなどには似ていないというのである……
 つまり人間は、人間に普通の人間的な仕事があることを認めており、そして民主主義に従えば、政治もその普遍的活動の部類に入る、ということである。要するに民主主義の信条とは、最も重要な物事はぜひとも平凡人自身に任せろというにつきる。例えば結婚、子供の養育、そして国家の法律といったことがらだ。これが民主主義である。そして私はその信条をいつでも信じつづけてきたのである。
(G.K.チェスタトン『正統とは何か』)
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永遠平和のために (岩波文庫)
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 文字どおりの意味における民主政治は、必然に専制政体である。なぜなら民主政治とは全員が一人の意志を無視し、場合によってはこれに逆らって(それゆえ、同意せざる何人かが存在する)議決できる、すなわち全員ならぬ全員が議決しうるような、執行権を許すからである。
(カント『永遠平和のために』)
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オスカー・ワイルド全集〈4〉 (1981年)


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民主主義とは人民の人民による人民のための脅しにすぎない。
(オスカー・ワイルド『社会主義下の人間の魂』)
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 ……以上は、ちくま哲学の森別巻『定義集』からとってみた。
 さっぱり「定義」になってないのは、やはり「哲学」だからか。そして、誰も投票だとか議会だとか多数決だとか言ってない。カントがちょっとそれっぽいけど、それにしたって否定的だ。
 
 果たして、民主主義を民主的に否定することは正当か? という問題は、自由を否定する自由はあるか、という問題と通底している。
 こういう言葉遊びのような「ガキの理屈」が、妙なリアルをまとって現れるとき、倫理だとか理性だとか、歴史的に積み重ねられてきたものがバラバラになる。丸一日かけたトランプタワーに、子供がタックルかますようなものか。
 以前、本宅のほうで「小学校の学級会で民主主義の問題点をすべて学んだ」というエントリーを書いた。そのとき、

>どんなに民主主義を尊重していても、「立候補する」という行為がすでに反民主主義の萌芽なのだ。

 と述べた。つまり、民主主義てのは反民主主義的な行為によって成立している、とても危ういものなのだ。
 うっかりバカなやつに投票すると、とたんに民主主義は壊れてしまう。
 だから投票したあともしっかり監視しなければならない。そのためにマスコミは、つねに政治家に「批判的」でなくてはならない。中立的でなく、批判的に、である。
 投票したらそれでおしまいで、あとは唯々諾々と従うだけならそんなものは全然民主主義ではない。でも民主主義自体、反民主主義的動機で形成されているので、そういうことになりやすい。(カントやワイルドはこの辺を皮肉ってるのだろう)

アローの不可能性定理: 
枠組みの検討と応用可能性

 だいたい、アローの「不可能性定理」でもって、完全に平等な選挙なんかありえない、てことはわかっているのだ。
 だからこそ、常に不平等をできる範囲でわかりやすく排除しなくんてはならない。
 とりあえず、一番わかりやすいところで、政治家の「世襲廃止」がいいんじゃないかな。
 

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