『予告編』って銘打ってるのは、まだこの本を手に入れてないから。本当にすごいベストセラーらしくて、注文してそろそろひと月になろうってのに、まだ入荷しない。こういう時だけは、電子書籍がいいなーと思わされてしまう。安いし。でも今更切り替えたりしないけど。
翻訳権はみすゞ書房が手に入れたとのことで、日本語訳は三年後くらいになるとのこと。おせーよ。あ、もしかして、原著のフランス語から訳そうとしてるのかな?
このところ、あっち側の新聞やらブログやらうろついてると、この本の話題に出くわさない日はなく、エントリータイトルの元ネタになった本と違ってただアホみたいに売れてるってだけじゃなく、現代経済学を根っこからブンブン揺るがすような内容をもっているらしい。
いやー、なんたってすごいごりっぱな経済学者が、反論できなくて口汚い罵倒を繰り返したりするんだもん。
これだけ話題になってると、現物を読む前におおよその内容がわかってしまう。
なので、ちょこっとポイントだけ書いておこう。
現在、富裕層と貧困層の格差がとんでもなく開いてきていて、第一次大戦の直前くらいになってる。そのうちそれすら超えるだろう。そしてその格差は固定され、固定された格差は「不平等」として社会を腐敗させるだろう。
なんでそうなるかというと、ここ三十年ばかり、経済成長を資本収益が常に上回ってきたから。そして、その状況がまったく覆りそうにないから。
だから、富裕層に特別な税金をかけるしかないんじゃないのか。海外に逃げられないように、世界中で一致してグローバルに。
……と、だいたいこんな感じ。
今まで「何となくそうなんじゃないかな」と皆が感じつつも、はっきりした証拠がないもんだから、二言めには「自由」を口にする経済学者に言いくるめられてきたことが、これで明確に事実だと判明した、というわけ。
もちろん、今まで現状を肯定してきた経済学者およびその周辺の評論家の先生方、さらには経済紙に至るまで、こめかみが破裂しそうな勢いで反論してきた。
なかでもこの反論は、ちょっとダメージを与えたようだ。
Piketty findings undercut by errors
http://www.ft.com/cms/s/2/e1f343ca-e281-11e3-89fd-00144feabdc0.html#axzz32cUiCVrm
中で使われてる統計が変だぞー、という指摘。
これはピケティも認めざるを得ず、おそらく近い将来修正版がでるんじゃないかな、と思う。
Thomas Piketty Says He Was Ambushed
http://www.newsweek.com/thomas-piketty-says-he-was-ambushed-252501
でも、ノーベル賞のクルーグマンはピケティを支持しているし、この程度の「ミス」で彼の主張の正しさが覆るものはないという意見もある。
おそらくカンどころは「経済成長を常に資本収益が上回ってる」てとこなんだろう。
これ、前回と前々回で触れた、マルサス の『人口論』にちょっと似ている。マルサスは、人口の増大と生活資料(主に食料)の増大のスピードがずれていて、常に人口の方が勝っていることを問題にしていた。ピケティは経済成長と資本収益で、常に資本の収益が勝っていることを問題にしている。足並みそろえていればなんの問題もないはずのものが、常に一方だけがもう一方を上回るのでろくでもないことになる、というわけだ。
問題の在処を、量的なものではなく、構造的な「ズレ」に求めているところが似ているように思う。
ではそのうち、リカードがマルサスを封じ込めたように、ピケティも封じられてしまうのだろうか……?
とまあそんなわけで、翻訳待ってるのもうざったいので、ちょっとお先に読んでみようかな、と思った次第。
読んだらブログに書こうと思ってるけど、歯が立たなかったら立たなかったで、どんなふうに歯が立たなかったか書こうと思う。正直にね。
An Essay on the Principle of Population: Influences on Malthus Selections from Malthus' Work Nineteenth-Century Comment Malthus in the Twenty-First Century (Norton Critical Editions)
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以下、続いて書かれたエントリーのリンク集。
読み進むにつれて触発され、「財産」が「世襲」される時に経済的な事象を越えた振る舞いをする、ということについて書こうと思いました。が、あまりに大きなテーマだったので途中で切り上げました。また勉強しなおして、取り組みたいと思います。
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