ギャバン エスカルゴ缶 36匹入り 425g |
日本人の西洋崇拝がその根本にあることは確かだが、そればかりではない。
フランスの料理店は極東の島国からのこのこやってきたような青年を、ちゃんと働かせて料理を教えた。(まあ、昔はたいへんだったようだけど)
そしてフランス料理のコンクールに国籍を問わず参加させ、そしてまた国籍を問わず入賞させた。
賞を受ければ話題になり、受賞者が日本で開店すれば客が詰めかけ、客たちはフランス料理の味を憶え、やがては本場で食べてみたいものだと想いをつのらせ、そしてフランスに観光に来てたっぷり金を落としていく。ちゃんと、桶屋が儲かるようになっている。
フランスのこうした「文化」の輸出の上手さは舌を巻くばかりだ。
日本料理でこういうパターンなぞ、まったく耳にしたことがない。日本の料亭で、どれだけの外国人が働いているだろうか。輸出っぽいことといえば、せいぜい「世界遺産」(正しくは無形文化遺産)になったくらいだ。それとて、どれだけ効果があったのかはわからない。SUSHIが世界中に受け入れられ、和食のレストランがあちこちにたったとしても、お役人が考えることといったら「本物の日本料理を出す店だけを認証する制度を作ろう」とかいうだけ。アメリカから「SUSHI-Policeが来るぞ(笑)」と揶揄されたら、たちまち引っ込めたけど。
クールジャパンとかいっても、どこが「クール(かしこい)」なのやらさっぱりわからん。
マンガやアニメのコンテンツを輸出?『アナと雪の女王』ひとつに負けてるよね。それよりももっと他に、考えるべきことがあるんじゃないのかな。上で書いたようなこととかさ。
「日本人だからこそ、わかる」みたいなことばかり大事にしてても、「花見酒」と同じこと。いずれ自分に酔ってすっからかんになる。
例外は「柔道Judo」だけど、これはたまたま最初にフランスが受け入れてくれたのが大きかったんじゃないかな。
あと、あんまり関係ないけど、ヨーロッパでの柔道の進化ぶりはすごいね。日本の柔道は、とにかく最初に「組手争い」で、良いところをいかにつかむかに腐心するけど、あっちの柔道はとにかくどこだろうとつかんだら即技に入る。どの位置をどの体勢でつかんだらどの技に入るか、何通りものパターンがあるようだ。昔のヨーロッパの柔道は、細かく細かくポイントを稼いでいこうとしてたけど、最近はもう「いっぽん」だけ狙っていて、それが外れるとポイントが入るって感じ。むしろ日本のお行儀の良い「組手争い」の方がポイント稼ぎに見える。これはそのうち、フランスかドイツ辺りからコーチを呼んで、教えてもらわなきゃならなくなるんじゃないのかな。
自国の「文化」を認めてもらうには、まず相手を受け入れることから始めないとね。
嘉納治五郎―私の生涯と柔道 (人間の記録 (2))
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