あれは、一九八八年の今日くらいのことだった。
とある筋から、私はある情報を耳にした。
「来年の一月七日、天皇が崩御する予定だ」
やれやれ、人が死ぬのに「予定」があるとはバカげた話だ。
当時、倒れたまま「下血」という言葉を流行させ続ける玉体について、下々のものたちは「いつ死ぬか」という憶測を遠慮なく口にしていた。中には「二・二六事件の兵士の亡霊が二月二六日に連れていく」なんてものまであった。
上記の情報もそうした中の一つと考えないでもなかったが、語ったのはそれを知り得たとしても不思議ではない地位の人間だった。
そして、その「予定」は当たった。
あの当時のことはよく憶えている。
テレビは東京上空からヘリが撮影した風景を延々と映しながら、天皇崩御の情報をテロップで流し続けていた。自粛というやつだ。
しかし、マスコミが伝える社会の表層部は天皇の死に粛然としてみせてはいたが、実際に天皇の赤子たちがやったことと言えば、貸しビデオ屋の棚をカラにすることだけだった。 あと、コンビニの雑誌売場もスカスカになっていた。
正月明けの土曜日という、日本経済への影響を極力抑えた日取りは、休日が増えることを期待した怠け者のサラリーマンたちをがっかりさせた。
もし、この「予定」が、「そうした意図」のもとに選ばれたのなら、もはや日本は皇室よりも「経済」が大事な国になった、ということと思われた。きっと、そうやってだんだん普通の国になっていくのだ。
さて、前回はただのネタだったが、今回はちょっとマジな話だ。
もしかすると、強行採決された「特定秘密保護法」にマジで引っかかったりするのかも知れない。
まあ、もしそうなったなら、刑務所でただ飯でも食わせてもらうことにしよう。
刑務所の中 (講談社漫画文庫 (は8-1))
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