2013年12月18日水曜日

滅びをさけるための方法 つづき

 前回の続き。

 さて、マガダ国王の使いが立ち去ると、ブッダはふと思い立ったように、アーナンダに命じて修行僧を集合させた。そして、修行僧たちに「衰亡をきたさないための七つの法」を説いた。
1.しばしば会議を開き、会議にはできるだけ多くの人が参集するべし
2.協同して集合し、協同して行動し、協同してなすべきことをなせ
3.未だ定められていないことを定めず、すでに定められたことを破らず、昔に定められた旧来の法に従って行動せよ
4.出家して久しい長老や教団の導きてを敬い、尊び、あがめ、もてなし、彼らの言を聞くべし
5.愛執が起こってもそれに支配されてはならない
6.林間の住処にあることを望みなさい
7.すでにある良き修行者なる友が快適に暮らせるように、そして未だ見ぬ良き修行者と出会えることを望みなさい

 さっき語ったこととだいたい同じ。そしてブッダは、さらに七つの「衰亡をきたさざる法」を説いた。


1.動作を喜ばず、動作を楽しまず、好んで動作に従事せぬように
2.談話を喜ばず、談話を楽しまず、好んで談話に耽らないように
3.睡眠を喜ばす、睡眠を楽しまず、好んで睡眠に耽らないように
4.社交を喜ばす、社交を楽しまず、好んで社交に耽らないように
5.悪い欲望を抱かず、諸々の悪い欲望に支配されないように
6.悪友をもたず、悪い仲間をもたず、悪い同輩をもたないように
7.修行僧たちが少しばかり優れた境地に到達したことによって中途で修行を中止したりしないように

 さらにまた七つ。
1.「よく思いをこらす」さとりのことがらを修しなさい
2.「よく法を選び分ける」さとりのことがらを修しなさい
3.「よく努力する」さとりのことがらを修しなさい
4.「よく喜びに満ち足りる」さとりのことがらを修しなさい
5.「心身が軽やかになる」さとりのことがらを修しなさい
6.「精神統一」というさとりのことがらを修しなさい
7.「心の平静安定」というさとりのことがらを修しなさい

 さらにさらに七つ。
1.未来の世にあらゆるものは無常であるという想いを修しなさい
2.あらゆるものは我(アートマン)ならざるものであるという想いを修しなさい
3.あらゆるものは不浄であるという想いを修しなさい
4.あらゆるものは厭わしいものであるという想いを修しなさい
5.あらゆるものを捨て去るという想いを修しなさい
6.あらゆる欲情から離れるという想いを修しなさい
7.止滅の想いを修しなさい

 さらにさらにさらに今度は六つ
1.慈しみのある「身体での行動」を、共に修行する人たちに対し、人が見てても見てなくても行いなさい
2.慈しみのある「ことばでの行動」を、共に修行する人たちに対し、人が見てても見てなくても行いなさい
3.慈しみのある「心での行動」を、共に修行する人たちに対し、人が見てても見てなくても行いなさい
4.托鉢で得たものは独り占めしないで仲良く分け合いなさい
5.混じりけもキズも無い精神統一をあらわす戒律に関して、 共に修行する人たちとともに、人が見てても見てなくても修行者の境地を実践しなさい
6.修行僧たちが、迷いの領域から離脱しうるような、それを実践する人をして完全に苦しみをなくさせるような、そのような立派な見解によって、共に修行する人たちとともに、人が見てても見てなくても修行者の境地を実践しなさい

 わあ、けっこうくどいな、ブッダ……

  ブッダ《オリジナル版》復刻大全集 1 ブッダ《オリジナル版》復刻大全集 2

 で、こう言い残して、ブッダは最後の旅に出た。
 残していく弟子たちが心配でちょっとくどくど言ってしまったのかも知れないが、これらの言はあくまで「修行者」たちに向けたものであって、教団が衰亡をきたさないための法である。
 興味深いのは、これ、「反組織」の法なんだよね。つまり、教団が組織化しないように、それでいて目標を見失わないように、ということをしつこく言ってるわけ。
 以前ちょろっと書いたように、「組織(社会)は、かならず腐敗する」
 なのでブッダは教団を組織化しようとしたダイバダッタを斥け、残していく教団が「組織」にならないよう、口を酸っぱくして言い置いたわけだ。アジャータサットゥから使者が来て、ダイバダッタのことを思い出したのかも知れない。

 ところで、ブッダは一般に「キノコに当たって死んだ」ことになっているけど、別に伝わっている話では、野ブタ(イノシシ?)の肉を食べて死んだのだ、とされている。さらに二つを重ねて、野ブタに関わるキノコ、野ブタが探したキノコを食べたのだ、という説もあるそうな。
トリュフを探すブタの銅像

 ブタが探すキノコ、というと、世界三大珍味と言われるトリュフだよね。どうせなら、「ブッダはトリュフを食べて死んだ」というほうがおもむき深い感じがする。
 ちなみに、あんまり関係ないかもだけど、ブッダの本名である「ゴータマ」は、「大いなる牛」という意味なんだそうだ。

Chocolate book―生チョコ+トリュフ+焼き菓子のレシピ20

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