『糸』作曲: 野村誠, 大友良英, 高橋悠治, 新垣隆, 武智由香
なんか「日本のベートーベン」の耳が聞こえていた、と世間で騒いでるようだ。
騒ぎになるまで全然知らなかったのだけど、「日本のベートーベン」の中の人である新垣隆って作曲家は、現代音楽の方面ではそこそこ名のある人だったようだ。上のCDなんだけど、高橋悠治やあまちゃんでブレイクした大友良英といっしょに曲を作っている。
まあ、前衛作曲家って、食えないからね。大友良英だってあまちゃんの曲は数万枚売れたけど、自分のオリジナルCDは40枚(万が抜けてるわけじゃなくて)しか売れなかったそうだし。
こういうのは、黒毛和牛がオージービーフだったというのとはまた違って、似たようなことはしょっちゅう世間で起こっている。起こっているけどみんな忘れてしまう。それどころか、「それでもいいや」と諦めたり、「それのどこが悪い」と開き直ったりしている。
そうした詐欺への諦念と忘却の果てに集められた人たちが、ただいま永田町で活発にドラ声を張り上げている。なんだか田舎の旦那が収集した骨董品みたいだけど、偽物だらけだからって捨てるわけにもいかないし、どうしたもんだか。
ちなみに、骨董の収集てのは旦那「芸」の一つで、とにかく出入りの骨董商からブツを買う。骨董商の口上が面白ければ、偽物だとわかってても買う。「頼朝公八歳のみぎりの頭蓋骨」なんてものでも買う。
で、悪くすると身上が潰れる。運がいいとその中に本物が混ざってる。
「ニセ物だった!」てみんな怒ってるけど、結局本当の所、みんな本物より偽物が好きなんだと思う。
だって、偽物の方が眼で見てきれいだし、耳で聞いて退屈しないし、口にいれてすぐおいしいすごくおいしいし。
なんかみんな怒ってるのは、どうせ私をだますなら 死ぬまでだまして欲しかった、てことなんじゃないのかな。
『開運!なんでも鑑定団』とか熱心に見てる人はわかると思うけど、「本物」ってのは一見退屈で凡庸でつまんないものが多いんだよね。
死の骨董―青山二郎と小林秀雄 (以文叢書)
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