2018年10月2日火曜日

たまには読書の記録などを

 ふと気づくと映画のことばかり書いているので、ちょっと最近読んだ本のことをメモしておこうと思う。
 仕事(執筆)のために読んだものと漫画をのぞき、九月中に目を通した本を並べてみた。




レヴィナス著作集 3:
 エロス・文学・哲学
    レヴィナスを読んでいると、なぜかハイデガーについて良くわかる。レヴィナスはハイデガーから多くの影響を受けながら、ハイデガーを強烈に批判した。そして、ハイデガーが生涯語ろうとしなかった諸々の事柄について、積極的に書き綴った。なので、ハイデガーについてのエントリーを二年に渡って書いていたおかげで、レヴィナスについてもよくわかる。ハイデガーを批判しても、やっぱりハイデガーからの影響を拭えない訳で、ハイデガーを読んでいると、レヴィナスについても良くわかるのだ。
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未完のファシズム―
「持たざる国」日本の運命
 (新潮選書)
   現代音楽の評論家でもある片山杜秀による日本論。いわゆる現代音楽については、学生時代から随分この人の文章に教えられた。
 最近は右翼(保守でも右派でもなく)の評論家として佐藤優と対談していたりする。
 興味深いのは最終章の「月経」について。
 このあたり、もっと踏み込んだらもう一冊書けたりするんじゃないかなあ。「性」と「権力」は意外なところで結びついている。フーコーすらも見通せなかった部分で。


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現代経済学-
ゲーム理論
・行動経済学
・制度論 
(中公新書)
    現代経済学について、ざっと俯瞰するために目を通した。
 









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岩波講座
日本経済の歴史
  最新の研究が盛り込まれた日本経済の歴史。すごい面白い。
 近年の岩波講座の中では出色ではなかろうか。
 








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租税国家の危機 (岩波文庫 白 147-4)
    この本については、いずれまとめて書くことがあると思う。
 シュムペーターは、もはやあまり話題になることもない経済学者だけど、いろいろと示唆的な部分も多い。



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クラシックでわかる世界史
 時代を生きた作曲家、
歴史を変えた名曲
 クラシック音楽から意外な歴史の貌が見えてくる、という本。
 例えば、『會議は踊る』で知られるウィーン会議では、フランス革命で首チョンパされたルイ16世の追悼式典が行われた。
 そこでウィーン中から合唱団がかき集められ、ジギスムント・ノイコム作曲のレクイエムが演奏された。
 指揮したのは、モーツァルト毒殺の嫌疑がかけられていたアントニオ・サリエリである。
 などなど。

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たった
ひとつ
のさえた
やりかた
   ふと気が向いて手にしてみたが、もうこのテの本を読むには自分が歳をとりすぎていることに気づかされただけだった。
 さえない親父が読むにはしんどい本。



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    おそらく、みすず書房初のコミック。
 切り裂きジャックを題材にしたもので、日本の漫画とは違ったストーリーの運び方や、場面の切り取り方にハッとさせられる。
 でも、つい最近「被害者は娼婦ではなく普通の女性たちだった」という研究が発表されてたけど、その辺どうなんだろ。
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HERE ヒア
    これもコミックだが、哲学的なコミックだそうだ。
 というか、割とこういうこと考えながら生きている人は多そうに思うけど、どうなんだろう?



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アイスキュロス II 
ギリシア悲劇全集(2)
 ハイデガー・フォーラムという集まりにのこのこ出かけたら、ハイデガーが『縛られたプロメテウス』について述べている、というので読んでみた。
 ちなみに、プロメテウスが火を運ぶのに使ったオオウイキョウは有毒。薬草にもなるけど。日本の茴香も有毒で漢方薬にもなる。ただ、中国の大茴香は無毒で、実は中華香辛料の「八角」
 オオウイキョウは漢字で「巨茴香」でセリ科。
 大茴香は「ダイウイキョウ」と読み、モクレン科。なんかややこしい。
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昭和恐慌と経済政策 
(講談社学術文庫)
    大正の末期から昭和へ、日本がいかにしてデフレに突っ込んでいったか、についての本。
 前述の『日本経済の歴史』と併せ読むと、面白さ倍増。
 ちなみに、高橋是清が「日本のケインズ」なんてもてはやされているが、その政策のほとんどは十年も前に鈴木商店金子直吉が提言していた、とのこと。

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ファスト&スロー
 (上)(下)セット
予想どおりに不合理
 行動経済学について知りたいな、と思って手にしてみたんだけど……
 あまりに内容がお手軽でびっくり。
 一時間ほどで読めてしまったので、時間の無駄にはならなかったが。

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ルイ・アルチュセール
――行方不明者の哲学 
(岩波新書)
   なんで今さらアルチュセール、という感じだけど、薄い本にこれでもかと中身が詰め込んである。
 アルチュセール論ではあるが、半分以上はアルチュセールを通したスピノザの解説になっている。事前にスピノザに目を通さないで、いきなりこれ読んだら辛くないか?
 読んだあと、帯を浅田彰が書いているのに気づいた。なんだか懐かしい感じになったな、この人も。
 ちなみに、アルチュセールは精神病の発作で奥さんを殺してしまい、本国フランスでは今じゃ見向きもされないと聞く。
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未来のイヴ 
(光文社古典新訳文庫)
    リラダン『未来のイヴ』、光文社の新訳。旧訳は読みづらかったので嬉しい。
 美女アンドロイドSFの走りで、主人公はトーマス・エジソン。(🎵そんなの常識〜)
 






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経済学者たちの日米開戦:
秋丸機関「幻の報告書」
の謎を解く (新潮選書)

「やっても120%負けるよ?」という研究結果が出ていたにも関わらず、日本は戦争に突っ込んでいったのだった。
 宇宙戦艦ヤマトの沖田艦長は「万に一つの可能性を信じる」とかいってたけど、それで成功するのはやっぱりアニメの中だけなわけで、万に一つはやっぱり万に一つでしかないな、ということ。


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朝、目覚めると、
戦争が始まっていました
   一九四一年十二月八日、作家や政治家や著名人がどのように感じたか、という記録を集めたもの。
 けっこうちゃんとした作家が「ヒャッハー!新しい時代の始まりだー!!」となってて苦笑してしまう。
 物書きがこんな浮ついたことでいいのかね、と思わされる。
 ラストを飾るのは太宰治『十二月八日』




 ………………と、だいたいこんなところ。
 次は、プラトンの『国家』とマルクス『ドイツ・イデオロギー』の読み比べをしたいな、と思ってるけど、いつになるやら。

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