ハイデガー、現象学の根本問題 (木田元監訳) |
と、即座に断ずるのも大人気ない気がする。シェーラーはフッサールの元を破門されてからも、ハイデガーとはちょくちょく会って話していたということだが、こちらも言葉の上っ面をちょいと拝借しただけではなかろうか。そして、ハイデガーがいざ論文を書く段になって、シェーラーとの混同を避けようと、独訳『茶の本』から別の「上っ面」を拝借したのではないのか。
ここから見えるのは、ハイデガーが「世界・内・存在」について、それほど難解なことを考えていたわけではない、ということである。