エリツィン
たった一年でロシア社会はありとあらゆる機能不全を起こした。インフレで中産階級は壊滅し、 数百万の労働者は賃金未払いの状態に追い込まれた。一九九二年のロシア人の消費は前年比四〇%減となり、全人口の三分の一が貧困レベルにたたき落とされた。しかし、「シカゴ・ボーイズ」はこれを改革の成果だと自賛し、そんな魔女の鍋のような混沌の中から、オリガルヒ
もちろんオリガルヒは市民から嫉妬の視線を受けたが、マスコミはロシアの混沌の責任を全てゴルバチョフに押し付け、逆に彼らをヒーローのように扱った。マスコミはすでにオリガルヒの手中にあったのだ。
オリガルヒは無から生じたのではない。元共産党政治局員などがエリツィンや「シカゴ・ボーイズ」らと組んで、民営化される国有企業をわがものとしたのだ。彼らは略奪した国家資産をひと月に二〇億ドルのペースで、「私財」として海外に投資していた。
こうしたイカサマが行われたのは、何もロシアだけではない。
チリを始め、ブラジルもアルゼンチンも、イギリスもポーランドも南アフリカも、そして中国もその渦中にある。
南アフリカではマンデラ
これらの国々はだいたいにおいて「指導者が経済に暗く」「経済学者に政策を丸投げ」している。そして大衆をコントロールするために、戦争を起こしたり反対する連中を片っ端から虐殺したりした。
まったく奇妙なことだが、すべては「自由」経済の名のもとに行われるのだ。
こうしてみると、「自由」は独裁などの「強大な権力」にこそ親和的だとすら思える。
チリの独裁者ピノチェトは反対勢力を虐殺しただけではなく、その勢力がほぼ国内に影響力を持たなくなると、今度は「疑わしい」連中を次から次につかまえた。「疑わしい」連中とは、髪を長くした男や、スラックスをはいた女である。彼らは「左翼」で「反社会勢力」だとされた。
そんなピノチェトを、「自由」を愛してやまないはずのフリードマンは激賞し、『隷従への道
作家のカート・ヴォネガットは、「彼らの口にする『自由』はイカサマをする『自由』だ」となじっている。
なぜこんなことが起こるのか。
フリードマンの理論はまるで絵画のように美しい、とダニエル・ベル
美しすぎるものは現実離れしてしまうものだ。かつてはマルクスの理論がそうだった。
人は美を愛するが、美の中に人は住めない。美は人を拒絶するのである。
と、まずはまとめておこう。
以下、「自由ってなんて不自由なんだろう」の本宅へのリンク。
自由ってなんて不自由なんだろう♪なんて吉田拓郎風に歌ってみたりして「ピノチェトと愉快な仲間たち編」
自由ってなんて不自由なんだろう♪なんて吉田拓郎風に歌ってみたりして「ハイエクどんとケインズどん編」
自由ってなんて不自由なんだろう♪なんて吉田拓郎風に歌ってみたりして「ハイエクを裏から読むとわかる”自由”についてのいろいろ編」
自由ってなんて不自由なんだろう♪なんて吉田拓郎風に歌ってみたりして「ハイエクを裏から読むとわかる”自由”についてのいろいろ編」の続き
自由ってなんて不自由なんだろう♪なんて吉田拓郎風に歌ってみたりして「ハイエクを裏から読むとわかる少子化ってやっぱりたいへんだ編」
自由ってなんて不自由なんだろう♪なんてセックス・ピストルズ風に歌ってみたりして「アナーキー・イン・ザ・UKなハイエクにびっくり編」
どこまでいっても仮説でしかないのに確かなことのように信じられている妄説もしくは-自由ってなんて不自由なんだろう-シカゴボーイズ編
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