2013年12月28日土曜日

神とは誰のことかのつづき

 前回のつづき。
 マラルメの有名なセリフに「世界とは一冊の書物に至るべきものだ(Le monde est fait pour aboutir à un beau livre.)」というのがある。とても有名なのに人によって解釈が違ってくる、ということでも有名なセリフだ。ひねくれた人は「ル・モンドで連載して本にしたいなあ、てことだろ」なんて茶化したりする。しかしまあ、前回のようなことに気づけば、「人間の歴史って、読者の視線を意識してるよね」ということを言ってんだな、とわかると思う。
マラルメ詩集 (岩波文庫) 
  そういう「過去の歴史を神の如き視点から書物を読むようにして解く」なんてのが啓蒙思想で流行ったのは、ニーチェが否定してフーコーが批判してからはなはだ評判の悪いものになってはいるけれど、やはり「普通の」「凡庸な」読者にとっては魅力的であることに変わりはない。
 そんなわけで、一年の締めくくりに大ボラを一発かましてみようと思う。どのくらいの大ボラかというと、マルクス並みのやつだ。しかも、ホラとは言えどちょっとマジだったりする。ちょっとだけね。

2013年12月26日木曜日

神とは誰のことか

  The End Of The Affair (Vintage Classics)

 自慢にならない話を自慢げにすることから始めよう。
 最近店の行き帰りに、グレアム・グリーンの"The End of the Affair"(邦題『情事の終り』)を辞書なしで読んでいる。日本語訳の方は未読だが、読む必要を感じないし、恐らくは読まないだろう。なんたって、掛け値なしに「高校生程度の英語力で読める小説」で、 いちいち辞書を引くのなんかアホらしくなるくらいなのだ。
 逆に考えると、こういう簡明な文章で名作をものにするところが、グリーンという作家の底知れぬところなのだろう。ついでに白状すると、グリーンの小説を読むのはこれが始めて。映画ですら、『第三の男』を見たことがあるだけだ。

2013年12月25日水曜日

Merry X'mas!!と言いつつおやすみです


 旧ソ連のクリスマスカードです。
 サンタ、宇宙船に乗ってますね。トナカイは非科学的すぎるからでしょうか。
 あ、そういえばロシアではサンタではなくて、マロースおじさんでしたっけ。
 その他の画像はここで見られます。

2013年12月23日月曜日

たまには近況報告などを

「ほぼ毎日更新中」と謳いながら最近滞りがちであります。まことに申し訳ない。
 原因ははっきりしていて、娘の受験勉強につき合っているので、脳みそがへこたれてしまうんですね。三十年以上ぶりに錆びだらけの焼き玉エンジン動かしてるようなもんなので、他の部分にも負担がかかってしょうがない。おかげで、書きたいことはあるのに文章が流れ出さなくて、もどかしいんだが手も足も出ない。冬眠してる亀になったようなこころ持ちであります。

2013年12月20日金曜日

滅びをさけるための方法 つづきのつづき

 前回でブッダが弟子たちにくどくど申し付けたことについて、「反組織の法」と書いたけど、どこらへんがどう反組織なのかは触れなかった。いや、触れるとすごい長くなるんで。
 でもまったく何も言わないのも不誠実なので、さわりのとこだけ書いておこう。

2013年12月18日水曜日

滅びをさけるための方法 つづき

 前回の続き。

 さて、マガダ国王の使いが立ち去ると、ブッダはふと思い立ったように、アーナンダに命じて修行僧を集合させた。そして、修行僧たちに「衰亡をきたさないための七つの法」を説いた。
1.しばしば会議を開き、会議にはできるだけ多くの人が参集するべし
2.協同して集合し、協同して行動し、協同してなすべきことをなせ
3.未だ定められていないことを定めず、すでに定められたことを破らず、昔に定められた旧来の法に従って行動せよ
4.出家して久しい長老や教団の導きてを敬い、尊び、あがめ、もてなし、彼らの言を聞くべし
5.愛執が起こってもそれに支配されてはならない
6.林間の住処にあることを望みなさい
7.すでにある良き修行者なる友が快適に暮らせるように、そして未だ見ぬ良き修行者と出会えることを望みなさい

 さっき語ったこととだいたい同じ。そしてブッダは、さらに七つの「衰亡をきたさざる法」を説いた。

2013年12月16日月曜日

滅びをさけるための方法

1.しばしば会議を開き、会議にはできるだけ多くの人が参集するべし
2.協同して集合し、協同して行動し、協同してなすべきことをなせ
3.未だ定められていないことを定めず、すでに定められたことを破らず、昔に定められた旧来の法に従って行動せよ
4.老人を敬い、尊び、あがめ、もてなし、彼らの言を聞くべし
5.良家の婦女・童女を暴力によって捕えてはならない
6.聖域を敬い、尊び、あがめ、支持し、以前の法に適った供物を絶えないようにすべし
7.尊敬されるべき人を守り、そうすることで尊敬されるべき人が集まってくることを願うべし

2013年12月11日水曜日

なぜおばあさんというものは怖い話をごく普通のことのようにして話すのかPart.2

 祖母がまだ尋常小学校に通っていた頃だから、村にはまだ電気やガスどころか水道もなかった時代だ。
 幼い祖母は仲のいい女の子と二人で、時々山に入って遊んでいたという。子供だけで山に入ることは厳に戒められていたが、山は家から遠くないし、そんなに深くないところだからいいだろう、と子供らしい勝手な理屈で入り込んでいた。
 山に入って少ししたところで、山道からちょっとはずれると、ぽっかりと空いた相撲の土俵くらいの空間があって、祖母とその子はそこでお手玉をしたりままごとをしたりして遊んでいたという。なぜかそこは、冬でもぽかぽかしていたそうだ。推測するに、なんらかの偶然で堆積した落ち葉が堆肥となり、発酵して熱を持っていたのだろう。

2013年12月7日土曜日

今のうちに特定ヒミツをばらしておこうPart.2

 あれは、一九八八年の今日くらいのことだった。
 とある筋から、私はある情報を耳にした。
「来年の一月七日、天皇が崩御する予定だ」

2013年12月5日木曜日

今のうちに特定ヒミツをばらしておこう

 あー、なんか強行採決必至だそうで。まあ、やると思ってましたが。昔っから芸風は変わりませんな。教育基本法と同じく、満員の特急電車の中にマーライオンが現れたようなもんで、逃げようにも逃げられないわ、次の停車駅はずーっと先だわ、かなわんで、これ。
 そんなわけで、今のうちに一つ、特定ヒミツ(笑)とやらをバラしておこうと思います。

2013年12月4日水曜日

いろんな国の十五歳の学力検査について十五歳の子を持つ親がかかえる釈然としない想い

 OECDという、なんというか、先進国なかよしクラブがある。中学校の社会の時間で、「おいしいでー、じゃないぞー。おー・いー・しー・でー!」と社会の先生が必ず定番を言うあれである。
 なんかそこが、PISAと呼ばれる各国の十五歳を集めた試験をした結果、日本の成績がとっても良かった、と今朝の新聞に出てた。これまでの得点より上で、さっそく脱ゆとり教育の成果が上がってきた、とかなんとか。
http://www.oecd.org/pisa/keyfindings/PISA-2012-results-japan-JPN.pdf
 ↑OECDの評価もほぼべた褒め。舞い上がる文科省のお歴々の顔が目に浮かぶようだ。